試合レポート

埼玉栄vs山村国際

2021.04.27

埼玉栄・2年生の倉林が1安打完封で山村国際との投手戦を制す

埼玉栄vs山村国際 | 高校野球ドットコム
埼玉栄の先発・倉林 優介

 [stadium]所沢航空公園球場[/stadium]の第一試合は、埼玉栄山村国際という南部、西部の強豪同士の一戦となる。共に県大会を一試合消化したことで落ち着いて試合に臨めるであろう。前の試合やや消化不良気味であった埼玉栄打線に試合勘が戻るかが鍵だ。特に経験の少ない2年生クリーンアップが本領発揮できるか。一方の山村国際喜多村 寿夫(3年)、登坂 秀太(3年)の投手陣がどれだけ埼玉栄打線を封じることができるかがテーマとなる。

 まずスタメン、埼玉栄はこの日エース塚本 壮施(3年)が登板しないということで、前の試合の7~9番が一つずつ打順を上げ9番にこの日先発の2年生・倉林優介(熊谷シニア)が入る。一方の山村国際は前の試合から大幅にメンバーや打順が変更になっている。前の試合3打点の新井 晴大(2年)が7番から2番に上がり、3番には大貫 慶悟(3年)、7番には河瀬 翼(3年)が入り、9番には正木 颯太(3年)が入る。

 先発は山村国際がエースの喜多村が中1日で登板、一方の埼玉栄は前の試合終盤で好救援した倉林が登板し試合が始まる。

 山村国際・喜多村は右サイドハンドからインステップで投球する投手で、ストレートはMAX130km前後だがボールを動かしている。そこへ変化球を交え打者を打たして取るタイプの投手だ。一方、埼玉栄・倉林はオーソドックスな右腕で、MAX130km中盤のストレートに変化球を交えるのだが、縦の変化球をうまく使う投手だ。

 試合はそのタイプやスタイルの違う両先発の頑張りや、やや審判がワイドであることも影響し1点を争う攻防となる。

 [team]埼玉栄・倉林は序盤2三振ずつ奪う上々の投球で山村国際打線を圧倒する。

 一方の山村国際・喜多村は毎回のように走者を出しながらも粘りの投球で要所を抑える。

 埼玉栄は初回、山村国際・喜多村の立ち上がりを攻め先頭の下田 裕太(3年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く鷹巣 雄大(3年)はエンドランがファールとなるが、結局スリーバントで送り一死二塁とする。二死後4番・五関 玲大(2年)が死球で出塁し二死一、三塁とするが、後続が取れ無得点に終わる。

 埼玉栄は2回裏にもこの回先頭の大熊 杏典(3年)がライト前ヒットを放ち出塁すると、続く花輪 和冴(2年)の所で埼玉栄ベンチはエンドランを仕掛けるがサードゴロに倒れ一死二塁とする。さらに8番・上田 華輝(3年)が四球を選び一死一、二塁とすると続く倉林がショートへの内野安打を放ち一死満塁とチャンスを広げる。だが、後続が倒れまたしても無得点に終わる。

 3回以降は山村国際・喜多村が尻上がりに調子を上げる。

 それでも埼玉栄は5回裏、一死から2番・鷹巣がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く高橋もレフト前へポトリと落ちるヒットを放ち一死一、二塁とチャンスを迎える。だが、4番・五関がショートゴロ併殺に倒れるなど山村国際・喜多村の術中に嵌る。

 相手の拙攻に反撃したい山村国際は6回表、この回先頭の正木がこの日初ヒットとなるショートへの内野安打で出塁するが牽制で刺され反撃ムードが萎む。後続も倒れ無得点に終わる。

 中盤以降も山村国際埼玉栄・倉林攻略の糸口が見いだせないままチャンスを作れずにいると、頼みのエース喜多村がついに8回に捉まる。

 埼玉栄は8回裏、一死から3番・高橋 碧生(2年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く五関の所で埼玉栄ベンチはエンドランを仕掛ける。五関の叩きつけた打球はファーストの頭を越えライト前ヒットとなり一死一、三塁と絶好の先制機を迎える。ここで5番・神作 陽太(2年)がセンター前タイムリーを放ち貴重な先制点をもぎ取る。

 投げては埼玉栄・倉林が最後まで山村国際打線を圧倒する投球で1安打完封勝利を飾り、埼玉栄が1対0で山村国際を振り切り3回戦へ駒を進めた。

 まずは山村国際だが、この日エース喜多村は良く投げていた。やや打線がエースを見殺しにしてしまった展開となった。それだけに大坂監督も試合後
 「序盤外中心だったので外の球を踏み込んでとは言っていたんですが、カウントを取りに来る球を仕留められなかった。喜多村は秋からの成長が見られるだけに攻撃陣が夏までの課題です」
と打線の奮起を促していた。昨夏から出場していた波田野 幹太(3年)、正木、松尾 優輝(3年)、高橋 虎太郎(3年)を中心とし、2年生にも星野 遥斗など好素材はいるだけに、今一度奮起を促したい。

 一方の埼玉栄だが、9安打を放ちながらなかなか得点が奪えない嫌な展開であったが、この日は倉林が終始安定していた。相手エースを上回る投球内容で流れを渡さなかった。
 「できれば序盤で点を取りたかったですけど、大会なので。今日は倉林が良く投げてくれました。うちのチームは経験値が足りないので一戦一戦上がっていけば。今日は相手の変則的な投球フォームに打者の開きが早くなって苦労したので次戦までに修正したい」
と山田監督はあくまで経験のない若いチームが一戦一戦伸びていくことを期待している。最後に期待の2年生クリーンアップの3連打で1点をもぎ取って勝てたのは今後へ向け明るい材料であろう。投手陣は好調を維持しているが、打線は未だ本調子とは言えない内容であるだけに次戦以降に真価が問われる。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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