試合レポート

首里vs那覇

2021.03.26

両軍合わせて30安打の超打撃戦

首里vs那覇 | 高校野球ドットコム
首里・伊波琉太郎

 那覇が12安打、首里が18安打と両軍合わせて30安打のスーパー打撃戦となった試合。那覇の見事な追い上げと、首里の最後の意地が見られた中身の濃いゲームだった。

序盤は互角、中盤は首里がペースを握る

 「先制したのは那覇。初回、一死一・三塁から相手のパスボールで1点。その裏首里は、二死無走者から3番、4番、5番、6番、7番と圧巻の5打者連続安打で3点を返し逆転した。

 しかし那覇は2回、下位打線で二死一・二塁とチャンスを作りトップの大城 陸へ。気合入る大城 陸は初球の甘い球を逃さずレフトオーバーの2点タイムリー三塁打を放ちすぐさま同点とした。

 だが首里もその裏、二死無走者から2番大宜見 哲汰がヒットで出塁すると、続く大城 祐輔が右中間を深々と破るタイムリー三塁打で突き放した。

 那覇もまけてはいない。3回、二死二塁から6番知念 純平がライト前へ運び再び同点。まるでジェットコースターのように目まぐるしく変わる展開。4対4と互角の序盤戦となった。

 しかし中盤は首里が制する。4回、5回と9番久高 颯晟の2打席連続犠飛などで加点していくと6回。死球を挟み4打者連続長短打が飛び出し一挙4点を追加。中盤の3イニングで大量7点を奪った首里が、このまま那覇を飲み込んで行くのかと思われた。

見事な粘りで6点差を追い付いた那覇

「あの状況になっても諦めずにね。良く追いつきましたよ。褒めてやります。」那覇は7回、3番島袋 晃汰の二塁打と二者連続四球で満塁とする。次打者のショートゴロで1点を返すと7番安室 佑は初球スクイズを成功。

 これで息を吹き返した那覇は8回、四球と犠飛を挟んで3者連続三塁打と圧巻の攻撃。気が付けば6点のビハインドを終盤僅か2イニングでゼロにしてみせた。2016年の夏の大会で那覇西を率いてベスト4入りした山城監督は、終盤見事な粘りを見せた那覇ナインを労った。

 一方首里の野原監督。「勝ったことが唯一。それ以上もそれ以下もないです。」と手厳しい。しかし、それもナインの力を信じているからこその野原監督流の檄。どれだけ打たれても変えるつもりはないぞ。疲れが見える大黒柱山内 秀陛に、最後にもう一段ギアを上げろと無言のメッセージ。ただ、監督も何もしないわけではない。そのために勝ち越さなければ意味がない8回裏、的確な判断でサインを送り大城 翔哉の勝ち越しタイムリーをお膳立てした。

 9回のマウンドにも上がった山内 秀陛も期待に応える。7回、8回の6失点が嘘のように、この日の最速137kmを叩き出すなど2つの三振を奪い三者凡退斬りでゲームセット。

 スコアだけ見れば大味なゲームだがその中身は非常に濃い、見応えある素晴らしい両軍ナインの気持ちがこもった試合であった。

(取材=當山 雅通

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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