試合レポート

天理vs宮崎商

2021.03.20

ドラフト上位候補・達孝太に負けない快投を見せた日高大空(宮崎商)に多大な可能性が!

天理vs宮崎商 | 高校野球ドットコム
達孝太

 近畿6枠目で選抜を勝ち取った天理が、九州大会4強の宮崎商との投手戦を7対1で制して、2回戦へ駒を進めた。

 試合が動いたのは2回、天理は4番・瀬 千皓のヒットと宮崎商の守備の乱れから二死三塁としたところで7番・木下 和輔と8番・達 孝太の連続タイムリーで2点を先制した。

 7回には1番・内山 陽斗主将のタイムリーなどで一気に4得点で勝負あり。このリードを天理エース・達が守り切る。130キロ中盤の制球力抜群の真っすぐを軸とした投球で宮崎商打線を封じる。8回に宮崎商3番・中村 碧人のタイムリーで1点失ったが、7対1で天理が勝利して、2回戦へ駒を進めた。

 それでも終盤までは点差はわずか2点。強打で知られ、高校野球界の名門校・天理宮崎商は食らいついて互角の展開を見せてきた。その立役者と言ってもいいのは宮崎商エース・日高大空だろう。身長178センチと決して大柄な選手ではないが、全身を使って勢いのある、流れるようなフォームからは、常時130キロ中盤の直球は手元でまっすぐ伸び、いわゆる質の高さが考えられる。

 天理の剛腕・達のような140キロ超えのストレートはないが、内外しっかりと投げ分けるコーナーワークがある。そして緩急をつけた投球も自在だった。

天理vs宮崎商 | 高校野球ドットコム
日高大空(宮崎商)※写真は昨秋の練習試合より

 その日高の投球のポイントは下半身だ。

 「体重移動で下半身をしっかりと使って、指先に力が伝わるように気を付けています」と以前の取材時では答えていた。そのためにもまずは足を上げた時にしっかりとバランスよく立てるか。そこにもポイントを置いて普段からピッチングをしている。

 指揮官の橋口監督も信頼するエースが大舞台で好投を見せたが、それを支えたのは真っすぐだけではない。変化球も実に有効的だった。110キロ台のスライダー、チェンジアップ、100キロ台のカーブはいずれも低めに落として、空振りを奪うことができていた。天理・内山主将によると分かっていても打てないものがあったと語る。

 「左打者にはチェンジアップ、右打者にはスライダーで攻められて、チームとしてストライクゾーンは上げて勝負しましたが、つい手が出てしまいました。さらに直球にも力がありました」

 緩急差をつけた投球に天理打線が我慢しきれずに、緩い変化球に手が出てしまい、苦戦を強いられる結果となった。

 とはいえ、満足いく投球だったわけではない。

 「カーブはタイミングを外すために使っていましたが、有効だったと思います。全体的には低めを丁寧に攻めていましたが、ピンチの場面で甘くなってしまったのは反省です」

 しかし全国区のチーム相手に堂々たる投球を見せたのは、1つの自信となったのではないだろうか。

 フォーム、制球力、コンビネーション、どれをとっても一級品で、その将来性は無限大だ。

(取材=田中裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.08

平成国際大の新入生は逸材揃い!帝京&茨城4強右腕、日本文理の遊撃手、高校通算20発以上の強打者らが加入!

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.05.09

「指導者はどこにいる?」九里学園(山形)が 選手主体の”考える野球”で成果着々

2024.05.08

筒香嘉智の復帰即逆転3ランにベイOBも興奮!二軍の打率1割台でも力を発揮できた理由とは!?

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.03

【埼玉】春日部共栄の「反撃」なるか、5年ぶりの関東切符狙う<春季県大会>

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.03

目指すは世界一!代表候補の座を射止めた6人の逸材たち

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>