Interview

巨人・横川も大絶賛!最速137キロ左腕の逸材・前田 悠伍(湖北ボーイズ)が過ごした3年間

2020.12.18

 古澤 勝吾(元ソフトバンク)、横川 凱(巨人)、土田 龍空(中日)を輩出した湖北ボーイズに注目の逸材がいる。それが前田 悠伍だ。

 球筋の綺麗なストレートを投げ込む本格派左腕で、一昨年のカル・リプケン12歳以下世界少年野球大会では日本代表の一員として世界一に貢献している。

 公式な最速は今春に計測した137キロだが、本人は140キロを投げられる手応えを感じており、中村 忠博監督によると、昨年末に前田の投球を見た横川は「自分が現役の時よりも数段上」と評価したという。

 高校での活躍が期待される前田のこれまでの野球人生や今後の抱負などに迫った。

バファローズカップでの好投が転機に

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前田 悠伍(湖北ボーイズ)

 滋賀県長浜市に生まれ育った前田は、父と4歳上の兄が野球をしていた影響で物心ついた時から野球に親しんでいたという。小学2年生の時に高月野球スポーツ少年団に入り、本格的に野球を始めた。

 最初は一塁手や外野手をしていたが、4年生の時に憧れていた投手を始める。「自分が投げた球から試合が始まるので、そこが楽しいです」と投手への道にのめり込んだ。

 それまで楽しく野球をしていた前田に転機が訪れる。それは6年生の時に出場したバファローズカップだ。そこでの好投がオリックスバファローズジュニアの関係者に目に留まり、オリックスジュニアのトライアウト受験を勧められた。

 オリックスジュニアの存在は声をかけられて初めて知ったそうだが、トライアウトも見事に合格。2001年に新人王を獲得した大久保勝信監督からはマウンドでの心構えや勝ちにこだわる姿勢を学んだという。

 「プロ野球のユニフォームを着ているということでけっこうプレッシャーもありましたが、その中でも楽しみがありました」とオリックスジュニアでの思い出を振り返る前田。当時のチームメイトとは今でも連絡を取り合っているそうだ。

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代表で得た経験をチームに還元

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前田 悠伍(湖北ボーイズ)

 中学では兄も所属していた湖北ボーイズに入団。入団前は「みんな楽しそうに野球をやっている」というイメージを抱いていたが、それは3年間崩れることなく、ノビノビとプレーできる環境で成長を続けてきた。

 1年生の時にはカル・リプケン12歳以下世界少年野球大会の日本代表に選出される。「全国から選手が集まってきたので、プレッシャーもありました」とかつてない重圧を感じたそうだ。その中でも力を発揮し、日本代表は3連覇を達成。「気持ちが楽になったというか、素直にメッチャ嬉しかったです」と仲間と喜びを分かち合った。

 前田にとって印象に残っている試合は決勝トーナメント・インターナショナル決勝戦の韓国戦。この試合に先発した前田は5回を投げて、1安打無失点の快投を見せた。「内野手のみんなに声をかけてもらったりして、楽しく投げられたので、そこが一番大きかったと思います」と好投の要因を振り返る。

 湖北ボーイズに戻ってからは代表の内野手が自分にどんな声掛けをしていたかをチームメイトに伝えたという。国際大会の経験を自分だけでなく、自チームにも還元しようとする姿は野球人として高く評価できる要素だ。

 その一方で、周囲からのプレッシャーも感じるようになった。日本代表に選ばれた投手として名が知られたことで、「変なピッチングをしたら『こんなもんか』と思われてしまう」とより自分に結果を求めるようになる。だが、それが重荷になることはなく、順調に成長を続けてきた。

 中学野球最後の年はコロナ禍で大会の中止が相次ぎ、練習も思うようにできない日が続く。休校期間中は1日4時間の体幹トレーニングを行い、体作りに力を入れてきた。「ブルペンで投げてみて休校前よりは球が速くなっていて、キレも良くなっていました。みんなからも『体がゴツくなった』と言われたので、良かったです」と効果を実感。全体練習ができない中でも力を伸ばすことに成功した。

 今年は全国規模の大会に出場できず、悔しさを味わったが、第21回大津びわこ大会で準優勝、第31回滋賀大会で優勝、衣笠祥雄旗争奪第2回全京滋中学硬式野球大会で準優勝と立て続けに好成績を残して引退。「最高の終わり方ができたと思います」と納得のいく形で中学野球を終えることができた。

 現在は高校入学に向けてトレーニングを続けている。「まだ下半身が弱いので、冬の練習でしっかり鍛えて、体力もしっかりつけていきたいです」と課題を持ちながら土台を作っている最中だ。

 目標としている投手は湖北ボーイズの先輩である横川だ。2年前に巨人からドラフト4位で指名された時は自分のことのように喜んだという。

 昨年末には帰省した横川と対面する機会があった。「全然、自分のレベルと違うので、やはり凄いなと思ったし、自分もこれくらいのレベルにならないといけないと思いました」とプロの実力を目の当たりにし、目標が明確になった。

 さらに横川からは自分のペースで投げることとフィールディングの重要性を学んだという。大先輩からの教えを胸に新たなステージでも結果を残すつもりだ。

 「高校3年間でしっかり体作りを頑張って、3年後にプロに行けるように頑張りたいと思います」と今後の意気込みを語る前田。世代屈指の左腕は高校でどんな活躍を見せてくれるだろうか。

(記事=馬場 遼

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