試合レポート

花咲徳栄vs東日本国際大昌平

2020.11.02

強打の花咲徳栄の秋敗退後からさらにパワーアップ。そして投打で楽しみな新戦力が

花咲徳栄vs東日本国際大昌平 | 高校野球ドットコム
先発の高安悠斗(花咲徳栄)

 秋準々決勝敗退の花咲徳栄。それでも関東地区の学校ではトップレベルの戦力層をもったチームであることは間違いない。

 聖光学院を破り、県大会優勝を収めた東日本国際大昌平にも圧倒した。

 1回表、一死一、二塁から4番・冨田 隼吾の内野ゴロの間に1点を先制。さらに3回表には1番川腰瑠一、2番飛川 征陽、3番浜岡 陸、4番冨田の4連打や相手のミスで一気に4点を追加。

 その後も打線がつながり、8対0で勝利した。

 9月の秋季大会準々決勝では細田学園に敗退。この試合でミートポイントのずれが課題となった。最短距離でなおかつ強いスイングができるメカニズムを求める花咲徳栄。選手たちにしっかりと意図を理解させ、正しい形を覚えるために、大会後は打撃練習に時間を割いて練習を重ねてきた。たとえば平日の練習では、守備練習を行わず、ひたすら投手が投げるフリー打撃を行い、18時過ぎまで行い、夕食の後、寮生は20時から22時まで打撃練習と、量を重ね、体で覚えるきた。大会後から主将に就任した浜岡は「まだ完全な形ではないのですが、少しずつ自分の形になってきています」と手ごたえをつかんでいる。

 また最速143キロ右腕・高安悠斗堀越啓太、144キロ右腕・松田和真が登板。高安は5回無失点。堀越は3回無失点、松田は1回無失点。高安、堀越が138キロ、松田は136キロを計測した。この3投手、ストレートも標準以上の球速があるだけではなく、120キロ台を超える変化球も精度が高いこと。

 強豪校クラスになると140キロ台を投げる投手はどんどん出てくるが、いわゆるボールの切れは格段に違う。関東大会に出場した投手と負けていないといえる。ただ花咲徳栄の投手陣が求めるのは、他校の追随を許さない圧倒的な球速、変化球の精度であり。登板した3人は「全然まだまだです」と語る。



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邉見 大斗(東日本国際大昌平)

 そのあとも4番・富田を含めて、主力打者が居残りで打撃練習を行い、投手陣はトレーニングと行っていたが、花咲徳栄の選手は主体的に練習を取り組んでいる様子が見える。1球1球、一打席一打席、どうすれば最善の内容が残せるのか、考えて取り組んでいる様子が見えた。

 ここまで主力選手について紹介したが、新戦力についても紹介したい。大会後の練習試合でも投げている左腕・熊倉柚は1年生。小川泰弘のような足上げから投げ込む躍動感あふれる投球フォームで、125キロ~128キロの直球は切れがあり、手元で切れるスライダーもよい。いわゆる球速表示以上に勢いがあるストレートを投げる投手である。秋はベンチ入りしていないが、普通のチームであれば、主力投手としても投げてもおかしくない投手だ。

 また、1年生の金子翔柾も面白い投手だ。175センチ81キロと恵まれた体格から投げ込む直球は常時133キロ~138キロで、1球だけ140キロを計測。ベンチ入りしている投手に負けていない勢いがあった。金子は新潟県三条市出身で、中学時代は新潟シニアでプレー。新潟シニアから花咲徳栄に入学し、プロ入りした韮澤雄也(広島)に憧れて、入学したという。これほどの力量を持った投手が1年秋はベンチ入りしていないのだから、層の厚さがうかがえる。

 公式戦では控え野手だった選手の成長は著しい。1番川腰は、秋では控えだったが、大会後の練習試合でヒットを重ね、1番に定着した。チームでもトップクラスの俊足で、ベースランニングを見ても実に速い。スピーディな野球を展開する花咲徳栄野球を実現するのにふさわしい選手だ。そのほかにはポジションの大幅な変更など、いろいろと改革している様子がうかがえた。

 花咲徳栄は夏に5年連続の甲子園出場を果たしたように、1年かけてチームを作り上げるだけに、激しい競争からどんなチームにしていくのか見逃せない。

 秋の県大会優勝の東日本国際大昌平は4番邉見大斗のバットコントロールの良さが目を引いた。走塁、守備の動きを見ても走攻守でバランスが取れた選手だった。花咲徳栄と対戦した経験を今後の練習に生かすことを期待したい。

(取材・写真=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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