今年の明治神宮大会は中止が決定 高校と大学の全国大会が1度も開催できない痛恨の1年
昨秋の明治神宮大会優勝の中京大中京
日本学生野球協会は9日、11月20日から開催予定だった第51回明治神宮野球大会を中止すると発表した。
新型コロナウイルスの感染リスクを考慮した結果、全国から出場校の選手や関係者、さらに野球関係者が集まり、大会後には地方へ分散していくことで感染拡大のリスクが避けられないことなどを理由に開催を断念することになった。
同時期の11月22日からは東京ドームで社会人野球の都市対抗野球大会も予定されており、出場チーム以外のアマチュア野球関係者もドッと東京に集結、宿泊をし、大会後には地方に分散していくこと可能性があることも不安視されていた。
1968年に「明治維新百年記念明治神宮野球大会」として、大学の部、高校の部、社会人の部を実施したことが好評で、これを機に1970年に「明治神宮鎮座50周年奉納野球大会」として第1回大会を大学の部のみで初開催した。
翌71年の第2回大会から「明治神宮野球大会」に改称。73年の第4回大会から高校の部を新設して現在に至っている。
88年の第19回大会は、昭和天皇の病状悪化に伴い中止となり、これが昨年までで唯一の大会中止だった。
当初は招待大会の色が濃かった明治神宮大会だが、近年では高校の部は北海道から九州までの秋季地区大会優勝10校を集め、「高校野球は甲子園だけではない」という認識が広まり、大学の部も神宮球場を本拠地とする東京六大学野球連盟と東都大学野球連盟以外は、各地の秋季リーグ優勝校(上位校)同士が代表決定戦を行い、出場校を決めている。現チーム・4年生にとって集大成となる大学生だけでなく、新チームとなって翌春の選抜大会を目指す高校生からも秋の目標として「神宮大会に出場したい。優勝したい」という声が多く聞かれるようになり、いわば秋の高校と大学の日本一を決めるチャンピオンシップ(選手権)の位置づけとして定着して、アマチュア野球のシーズン掉尾を飾る大会となっていた。
今年の高校野球は春の選抜大会と夏の甲子園大会(選手権大会)が中止になり、鹿児島国体も延期。大学野球も6月の全日本大学選手権をいったんは8月に延期したものの、結局中止となっており、今回の明治神宮大会中止で今年は一度も全国大会が開催されなかった。
1,2年生の新チームでスタートしている高校生にとっては来年の春と夏の大会を目指せるが、大学4年生が主体の大学生にとってはこれが現チームの最後になる、特に4年生の中には社会人野球などに進まず、これで野球を引退して一般就職や教員などの新たな道に進む選手もおり、そういう選手が野球選手として最後の活躍を見せることができる場が失われてしまった。
5月20日の高校野球選手権大会中止で涙した高校生の気持ちを、今回は大学生も経験する痛恨の1年になってしまった。
学生達の無念の思いは察するに余りある。
1週間の全国大会も開催できなかった2020年。地方から集結、宿泊、滞在練習、試合、大会後に地方へ分散などなど。全国大会を開催する課題を残したまま2021年のシーズンに向かうことになった。