試合レポート

明徳義塾vs鳥取城北

2020.08.10

俊足・奥野翔琉の四球から明徳義塾がサヨナラ劇で鳥取城北を破る!

明徳義塾vs鳥取城北 | 高校野球ドットコム
奥野翔琉 ※2019年11月2日の秋季四国地区大会より

 四国王者の明徳義塾と中国地区の準優勝校・鳥取城北の一戦は終盤勝負となった。

 試合は鳥取城北が初回に明徳義塾の先発・新地智也を捉え、4番・吉田貫汰のタイムリーで先制。しかし明徳義塾も2回に6番・玉城琉の四球からきっかけを作ると、9番・新地の犠牲フライで1対1。明徳義塾がすぐさま追いつくなど早くから試合が動く。

 5回には明徳義塾が3番・鈴木大照の犠牲フライで勝ち越しに成功すると、その後試合は膠着状態となり、7回終わって2対1のまま終盤へと入る。

 しかし気掛かりだったのは明徳義塾のヒット数。7回が終わった時点でヒットは0本。取った2点は四球をきっかけに取ったもの。ベンチにいた名将・馬淵史郎監督も「7回までノーヒットで2対1で勝っているのは嫌な予感がありました」と不安を募らせていた。

 その予想は見事あたり、8回に鳥取城北が3番・河西威飛、4番・吉田らのタイムリーで一挙4得点。終盤で鳥取城北が試合をひっくり返す。ただ明徳義塾も直後の攻撃で2点を返して4対5と鳥取城北に食い下がる。馬淵監督は「この2点が大きかった」と語る。


 最終回、一死から1番・奥野翔琉が死球で出塁。さらに2番・合田涼真の四球で一死一、二塁と長打でサヨナラのチャンス。ここで4番・新沢颯真が二死から値千金の三塁打でサヨナラ。明徳義塾が劇的な勝利で鳥取城北を下した。

 9回の攻撃前に「何とか追いつけ」と選手たちに発破をかけつつ、願わくばサヨナラを考えていた馬淵監督にとって理想の試合展開となった。

 なかでも最終回のサヨナラ劇の足掛かりとなった1番・奥野はすさまじいスピードだった。5回の犠牲フライの際、タッチアップで三塁から本塁に到達したタイムは3.4秒をマークする俊足だった。

 試合後に走塁に関して話を聞くと「自分が塁に出て足でかき回せば得点になると思っています」とコメント。また鳥取城北戦でも2つの盗塁を決めたが、どちらも「いけたらいけ」のサイン。任されるのが多いとのことだが、名将・馬淵監督からの信頼の高さがうかがえる。その脚力で次のステージでもダイヤモンドを駆け回ってほしい。

 一方敗れた鳥取城北の山木博之監督は「点数を取った回は粘り強く逆方向へ低い打球を打ってくれました。やりたかった攻撃をやって新地君を崩せたのは自身になったと思います」とコメントする。その上で3年生たちに「何とか我慢強くやってくれた」とコメントを残した。

(取材=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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