及川雅貴、西純矢の阪神同級生コンビが成長見せる!オリックス・宮城大弥の投球成績が高水準!
甲子園交流試合も始まり、世間では高校野球への注目度が日増しに高まっているが、プロ野球の世界ではちょうど1年前に甲子園の舞台で戦った高卒新人の先輩たちが、日々汗を流している。本企画では高卒新人のファーム成績を1年間追いかけ、その成長をデータから分析していく。第8回では投手を見ていく。
阪神、オリックスの4投手が順調に登板数を増やす
宮城 大弥(興南ーオリックス)
該当選手の中で、8月9日終了時点で規定投球回に到達している選手はいないため、今回は一定の投球回数をクリアしている投手のK-BB%を見ていこう。
上記グラフでは、13投球回以上の投手のK%(奪三振/対戦打者)とBB%(与四球/対戦打者)を表したものだ。グラフの右上に行くほどK%が高く、BB%が低い、つまり良いと考えてもらえばわかりやすいだろう。破線はK-BB%=11%(昨季一軍で規定投球回に到達した投手の平均値)を表しており、線の右側はその水準をクリアしていることを意味する。
オリックスの宮城大弥(興南)が順調に投球回を重ねており、指標的にも良い数値を残していることがわかる。ここまで高卒新人最多の16回を投げ、K%=24%(16個)、BB%=7%(5個)を記録。唯一破線の右側に位置しており、開幕時から高水準をキープしている。7月27日時点では5点近くあった防御率も、3.38まで改善しており、この状態をキープできれば、シーズン終盤での一軍デビューも見えてくるだろう。
宮城に次ぐ成績を残しているのが、阪神の及川雅貴(横浜)だ。K%こそ10%(6個)とやや低い数字だが、BB%は3%(2個)と、安定した制球力を見せている。しかし7月29日の福岡ソフトバンク戦で5回5失点、3本塁打を打たれるなど、球威という面で課題がありそうだ。
同じく阪神の西純矢(創志学園)も、順調に登板を重ねている。K%=17%(10個)、BB%=9%(8個)もまずまずの数値で、投球回よりも少ない被安打数で、防御率も2点台を記録している。同期の2人が順調な成長を見せているのは、阪神にとって明るい材料となるだろう。
オリックスの中田惟斗(大阪桐蔭)も順調に登板数を増やしている。3人と違い、これまでに3セーブを記録するなど、リリーフとして経験を積んでいる。K%=11%(6個)、BB%=9%(5個)と、奪三振能力という点ではやや低い数字が出ているものの、防御率2.08は今回取り上げた5人の中で断トツの数字だ。
K%=4%(3個)、BB%=16%(12個)と、この指標からは決して良い数字とは言えない横浜DeNAの浅田将汰(有明)だが、8月8日の巨人戦では、4回1失点の好投を見せた。投球回は宮城に次ぐ14.2回を投げており、順調に経験を積み上げている。
今回は取り上げなかったが、東京ヤクルトの奥川恭伸(星稜)や、巨人の井上温大(前橋商)などもを好投を見せている。ここまで登板のない千葉ロッテの佐々木朗希(大船渡)なども気になるところだが、これから夏にかけてどの選手が飛躍のきっかけを掴むのか、楽しみに待ちたいところだ。
※成績は全て8月9日終了時点
データ協力: やきうのおじさん(@yakuunoojisan)
Twitterで野球の分析を行う。本記事のデータはすべて日本野球機構(NPB)のオープンデータを使用。
(記事=林 龍也)
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