試合レポート

日大三vs都立富士森

2020.07.31

エース・児玉悠紀が流れを変えた!強打の都立富士森をコールドで破り、4回戦進出!

日大三vs都立富士森 | 高校野球ドットコム
リリーフ登板で好投した日大三・児玉悠紀

 初戦で東京都市大等々力を打ち崩してきた日大三。31日の試合は都立富士森が相手。都立富士森は昨秋の都大会で国士舘と乱打戦を演じており、日大三の小倉全由監督も「国士舘さんといい試合をやっていたので、勢いを付けたくなかった」と警戒していた。

 しかし試合展開は小倉監督の想いと反する方向で序盤は進む。

 先発は背番号10を付けた棚原幸。前回の東京都市大等々力戦同様に力強いストレートと切れ味抜群のスライダーを投げ込んでいく。だが都立富士森1番・比嘉宇基にヒットを許すと、2番・石丸拓人には送りバント。テンポよく得点圏にランナーを進められたところで3番・森田光音凪にタイムリーを許し、先制点を与えてしまう。

 すぐさま点数を奪えば問題なかったが、都立富士森先発・森田のコーナーを突くピッチングを前に初回無得点。出鼻をくじかれる結果となり、都立富士森は勢いに乗ってしまう。

 1年生の秋からピッチャーを始めた森田。セットポジションから本人も大事にしてきたヒップファーストで重心を前に送り出し、右腕をしっかり上から叩く。ストレートとスライダーをコースに投げ分ける巧みな投球に日大三打線も序盤は苦戦を強いられた。

 それでも2回に1番・渡辺凌矢の内野ゴロの間に1点を返して同点に追いつく日大三。これで振り出しに戻ったと思いきや、先発・棚原が踏んりきれず3回に都立富士森9番・青木直斗にヒットを許したところで、エース・児玉悠紀がマウンドへ上がる。

 「ランナーがいてプレッシャーで硬くなっていましたが、抑えないといけない」とエースの覚悟をもって向かっていった児玉は、都立富士森3番・森田に犠牲フライで1点を許すものの、後続を断ち切る。

 エースの意地の投球に自慢の打線が3回から応える。

 先頭の3番・柳舘憲吾、そして6番・山田和がライトフェンスに突き刺すホームランで勝ち越しに成功すると、4回には一挙5得点。これで試合を決定づけた。



日大三vs都立富士森 | 高校野球ドットコム
都立富士森先発・森田光音凪

 東京都市大等々力戦では不発だった3番・柳舘だが、脇を閉じた自然体のフォームから小さく足を上げて着地の瞬間に一気に振り抜くフォームには力強さを感じさせる。また6番の山田も体は大きくないが軸のブレがあまりなく、しっかりと回転してボールにミートする。パンチ力を持っており、注意しないといけないバッターだ。

 大量リードをもらった日大三児玉は「立ち上がりは変化球が浮きましたが、低めなら打ち取れると思っていました。ですのでリリースポイントを前で離せるように調整して低く集めました」という自慢のスライダーを軸にアウトの山を築く。最後は6回に1点を追加した日大三は9対2の7回コールドで都立富士森を下した。

 これで4回戦に勝ち進んだ日大三だが小倉全由監督は、「もう1つ打線のつながりがですね」と野手陣のさらなる奮起に期待をした。そしてリリーフとしてマウンドにあがって流れを変えた児玉は「次も無失点で抑えていきたいです」とコメント。大会で優勝して、監督を胴上げする。日大三で3年間やってきて良かったと思えるようにするべく、エースは次戦以降も奮闘する。

 敗れた都立富士森の廣瀬勇司監督は、「日大三さんは底力がありますので、5回以降が勝負だと思っていました。3回までは森田が頑張って、打線も積極的に振っていきましたが、5失点は痛かったです」と悔しさをにじませた。

 そして序盤は日大三相手に好投した森田は、「インコースとアウトコースに投げ分けることをしっかりできたこと。緩急でも抑えられることが出来たのは良かったです。挑戦する気持ちで向かって行きましたが、際どいところもヒットにされて投げるボールがありませんでした」と日大三打線の破壊力をコメントした。それでも「格上相手に試合ができて楽しかったです」と晴れやかな表情で高校野球を振り返った。

(取材=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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