膝の手術を二度経験。最後の打席で二塁打を放った関東一・久保田大輝
二塁打を放った久保田大輝(関東一)
7月31日、関東一高が淑徳に10対0の5回コールド勝ちを収め、ベスト16入りを決めた。メンバー入れ替えの変更が可能な今大会。関東一は3回戦までで3年生全員20名を使うことを決めていた。そこで、一打席に思いをかけてきた選手がいる。それが背番号19の久保田大輝である。
明友硬式野球倶楽部では投手として活躍。高校では打力の高さを生かし、野手へ転向した。昨秋、バッティング練習で外野の守備に入った久保田は捕球時に右ひざを痛めた。手術は2回もするほどの大けがで、ケガの瞬間。「もう終わったな」と感じたという。だが、今大会はベンチ入りメンバーの入れ替えが可能となり、多くの3年生にチャンスが与えられる機会となった。
主将・渡辺貴斗は大会前から「3年生全員でベンチ入りしたい。3年生でしかわからない気持ちはあると思いますし、戦えればと考えています」と3年生で戦いたい思いを話しをしていた。米澤監督の結論として、大会前半2試合は3年生全員がベンチ入りして、全員を使う形にする。
4回戦以降は少しでもかつ確率を高めるために実力ある2年生を入れ替える方向性で決まった。米澤監督は「今の1、2年も秋季大会も、選抜もあるかわからない。今ある大会で、学年問わず、実力ある選手を起用していこうと3年生たちに話をしました」
そして久保田は5回裏に、右中間を破る二塁打を放つ。ベンチに戻ると3年生が満面の笑みで久保田を迎えた。
「みんなが笑顔でしたし、そして両親もきていたので、本当にうれしかったですね」
米澤監督も「久保田が打ったのは本当にうれしいことでした」と振り返った。
4回戦以降からは下級生も何人か入れ替えをする。久保田はまだ完治していない膝の治療を行い、野球はこれからも続ける。
今大会のルールはこれまで光に当たらなかった多くの3年生たちの最後の雄姿が実現している。
そして久保田はこうエールを送った。
「今のチーム状況ならば、秋にまけた帝京さんにも勝てると思います。頑張ってほしいと思います」
3年生20名の思いを背負い、関東一は2年連続の東東京制覇を狙う。
2020年夏季東東京都高等学校野球大会
2020年夏季西東京都高等学校野球大会