西純矢、中田惟斗はファームで防御率0.00!井上温大(巨人)がデビュー!
今年の高卒ルーキーと言えば、いち早く一軍の舞台でプレイし始め、徐々にその才能をみせつつある中日・石川昂弥の名が真っ先に上がることだろう。しかし、多くの高卒ルーキーたちは、現在ファームで汗を流している。
そんな高卒新人のファーム成績を追いかける本企画、第6回では投手たちを見ていく。
奥川恭伸、宮城大弥がK-BB%の水準クリア
野手では10人近くが規定打席に到達しているが、投手ではまだ規定投球回に達している選手はいない。そこで今回も、一定の投球回数に達している投手たちのK-BB%を見ていこう。
上記のグラフは、6投球回以上の投手の、K%(奪三振/対戦打者)とBB%(与四球/対戦打者)を表したものだ。グラフの右上に行くほどK%が高く、BB%が低い、つまり良いと考えてもらえばわかりやすいだろう。
破線はK-BB%=11%(昨季一軍で規定投球回に到達した投手の平均値)を表しており、線の右側はその水準をクリアしていることを意味する。
その右側に名前があるのが、東京ヤクルトの奥川恭伸(星稜)、オリックスの宮城大弥(興南)の2人だ。奥川はこれまで4試合6.2回を投げ、K%=36%(9奪三振)、BB%=0%(0四球)と抜群の内容を誇っている。
ただ、与四球はないものの投球回とほぼ同じ数の安打を打たれ、失点も3。プロの打者を抑え込むにはまだクリアしなければならない課題がありそうだが、現時点ではその圧倒的な奪三振能力に目を奪われてしまう。
宮城は高卒新人最多の11回を投げ、K%=27.1%(13奪三振)、BB%=8.3%(4四球)と、やはり好成績をマークしている。ただ奥川同様、被安打と失点がやや多くなっており、今後に向けての課題があるとみられる。
阪神の及川雅貴(横浜)も、9.1回を投げてK%=13.2%(5奪三振)、BB%=2.6%(1四球)で水準に近い値をマークしている。与四球は1と素晴らしいため、ファーム、そして一軍で活躍するためにも、奪三振能力を磨いていきたいところだ。
上記3人と対照的なのが、オリックスの中田惟斗(大阪桐蔭)と、阪神の西純矢(創志学園)だ。K-BB%は水準には達していないものの、中田は9回で被安打6、西は7.2回で被安打4と安打数が少なく、ともに自責点0。奪三振は少ないものの、打たせて取る投球が実践できていると言えそうだ。
また、この2週間で投球回を増やしてきたのが、横浜DeNAの浅田将汰(有明)だ。通算では宮城に次ぐ10.2回を投げており、奪三振3、与四球8、被安打11。まだまだ改善の余地がありそうだが、投球回という経験を得るごとに進化していくことだろう。
投球回こそ少ないが、7月26日には巨人の井上温大(前橋商)がファーム公式戦デビュー。2回を投げて無失点に抑え、2三振を奪うなど、その豊かな将来性を示してみせた。
まだまだ投球回も少なく、一回好投したり、一回打ち込まれたりすれば数字がひっくり返ってしまう状況だ。一概にデータで良し悪しを語ることは難しいが、本記事が若手有望株たちの成長を見守る一助になれば幸いだ。
※成績は全て7月26日終了時点
データ協力: やきうのおじさん(@yakuunoojisan)。
Twitterで野球の分析を行う。本記事のデータはすべて日本野球機構(NPB)のオープンデータを使用。
記事:林龍也