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名球会3人輩出の可能性?現役最多・日米通算174勝の田中将大ら88年世代ドラ1の現在地

2020.05.11

 野球の世界には「松坂世代」を始め、有力選手が集まった世代を「〇〇世代」と形容する流れがある。毎年12名のドラフト1位が生まれるので、平均すれば各世代に12名のドラ1がいることになるのだが、多い世代、少ない世代というのが出てくる。そこで世代別にドラフト1位を集計し、その現在地を見ていきたい。今回は高卒14年目、32歳を迎える88年世代だ。

高卒組は田中将大、坂本勇人、前田健太が名球会視野に

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田中将大

 88年世代でドラフト1位指名を受けたのは、高卒12人、大卒6人、大卒社会人4人の計22人。高校生ドラフトで全12球団が高校生を指名したこともあり、人数が多くなっている。そこで今回は前後編に分け、高校生、大学生・大卒社会人に分けて紹介していきたい。高卒組の主な通算成績は以下の通り。

<2006年ドラフト>
田中将大駒大苫小牧・東北楽天・ヤンキース) 4球団競合
NPB7年 175試合 99勝35敗3セーブ 1315回 1238奪三振 防御率2.30
MLB6年 164試合 75勝43敗 1006.1回 947奪三振 防御率3.75

堂上直倫愛工大名電・中日) 3球団競合
866試合 29本塁打 180打点 打率.226

増渕竜義鷲宮・東京ヤクルト) 2球団競合
157試合 15勝26敗29ホールド 363.1回 257奪三振 防御率4.36

大嶺祐太八重山商工・千葉ロッテ) 2球団競合
119試合 28勝33敗1ホールド 501回 304奪三振 防御率4.65

前田健太PL学園・広島東洋・ドジャース・ツインズ) 単独指名
NPB8年 218試合 97勝67敗 1509.2回 1233奪三振 防御率2.39
MLB4年 137試合 47勝35敗6セーブ9ホールド 589回 641奪三振 防御率3.87

北篤小松工・横浜・北海道日本ハム・読売) 外れ1位
56試合 2本塁打 4打点 打率.247

延江大輔瀬戸内・オリックス) 外れ1位
一軍公式戦出場なし

福田秀平多摩大聖ヶ丘・福岡ソフトバンク・千葉ロッテ) 外れ1位
696試合 24本塁打 120打点 15盗塁 打率.235

坂本勇人光星学院・読売) 外れ1位
1670試合 223本塁打 800打点 152盗塁 打率.293

野原将志長崎日大・阪神) 外れ1位
15試合 0本塁打 0打点 打率.120

木村文和埼玉栄・西武) 外れ1位
投手 41試合 1勝4敗1ホールド 72.1回 51奪三振 防御率5.60
打撃 539試合 31本塁打 105打点 48盗塁 打率.216

吉川光夫(広島広陵・北海道日本ハム・読売・北海道日本ハム) 外れ1位
209試合 55勝70敗3セーブ3ホールド 1040回 744奪三振 防御率3.91

※球団名は入団時

 現在、プロ野球界をリードしていると言っても過言ではない88年世代。そのトップを走るのは、現在ニューヨークヤンキースで活躍する田中将大だろう。日米通算174勝は現役最多の数字。まだ若く、200勝も視野に入れる。同じく戦いの場をメジャーに移した前田健太も、日米通算144勝を挙げている。今季からツインズに移籍し、ますます期待も大きくなる。野手では坂本勇人が日本を代表する遊撃手へと成長した。30歳を超えてなおキャリアハイを更新し、昨季は自己最多の40本塁打、94打点を記録。今季、どれだけの数字を残すのか楽しみだ。

 吉川光夫も強烈な輝きを放った一人だ。入団6年目の2012年には最優秀防御率、MVP、ベストナインを獲得。近年は登板機会が減少しているが、古巣に戻り、もう一度花を咲かせたい。ソフトバンクでユーティリティプレイヤーとして活躍した福田秀平は、昨オフFA権を行使し、ロッテに移籍。今季はレギュラーとしてフル出場し、キャリアハイの更新が期待される。3球団競合の末に地元・中日に入団した堂上直倫は、安定した守備力を武器に、コンスタントに出場を続けている。今一度レギュラーをつかみ取り、自身初のフル出場を目指したい。

 6年目までは投手として試合に出場し、勝利も上げた木村文和。打者転向後は持ち前の身体能力を活かしたプレイを見せ、昨季は自己最多130試合に出場。今季は初の規定打席をクリアしたい。2015年には8勝を挙げた大嶺祐太は、昨年1月にトミー・ジョン手術を受けた。育成契約で迎えた今季はリハビリに励んでいる。現在は上尾ベースボールアカデミー塾長を務める増渕竜義は、5年目には先発ローテーションを守り7勝を挙げる活躍を見せた。しかし以降は思うように勝ち星が伸びず、2014年に日本ハムに移籍し、翌年現役を引退した。

 北篤は投手として入団したが、故障の影響もあり3年目からは野手に転向。横浜から日本ハム、巨人と移籍し、2017年オフに引退した。通算15試合に終わった野原将志は2013年に戦力外通告を受けたあと、社会人野球の三菱重工長崎でプレイ。2016年オフに、チームの休部とともに現役を引退した。瀬戸内高校時代には「瀬戸内のランディ・ジョンソン」の異名をとった延江大輔だが、故障もあり一軍公式戦出場は叶わず、6年で引退した。

 12人中、3名が名球会入りの可能性が出てきた88年世代の高卒ドラ1組。田中将大は200勝まで残り26勝、坂本勇人は2000安打まで残り116安打。前田健太は200勝まで56勝とやや遠いが、可能性は十分に残されているだろう。彼らが長くプロ野球界を引っ張り、偉大な功績を残すことを期待したい。

記事:林龍也

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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