「救われる場があってほしい」 タレント揃う光泉カトリックが送る、メリハリを付けた日々
光泉 *写真は昨年春季滋賀大会 近江兄弟社戦より
高校球児にとって夏は最後の舞台になる選手もいれば、さらに高いステージを目指して結果を残したい選手がいる。
昨夏準優勝の光泉カトリックにとってはさらなるステップアップを目指す1年だった。高い知的好奇心から最新テクノロジーを活用。またそれにつられるように選手たちの意識も高まり、選手の底上げに成功。
今年も最速147キロ右腕・森本修都、140キロ右腕・中植樹一郎、滋賀県選抜に選ばれた松田陸とタレントを揃え、古澤和樹監督によると大学など次のステージで続けたい選手は何人かおり、今回の春季大会中止は「痛いですね」と心境を語る。
これまで3月にも自粛の期間があったが、選手たちの自主性の高さや練習ができないことで懸念される運動量、生活習慣の乱れを防ぐリスクマネジメントを行った。
「最低限のランニングメニューをトレーナーと相談して連絡しました。あとは栄養、体重が落ちていないか、全体でLINEを通じて確認をしました。やはりどうしても生活習慣の乱れで体調を崩している選手もいまして。生活習慣をしっかりさせるために、早い就寝と夏に向けて練習をきっちり取り組むことをお願いしました」
3月の自粛期間は3週間程度だったが、選手たちは意識高く取り組み、筋力量が増えている選手もいたという。
「普段から教え込むスタイルではなく、選手が必要なことを必要なだけやっているので、1から10まで教えないといけないわけではなかったので、それが良かったんだと思います」
選手たちの意識の高さをたたえた。今回の自粛は夏だけ考えてみれば痛い。しかし高校球児は夏が終われば受験生になる。冒頭で説明したように、上で続けたい選手は古澤監督によると「片手で数えるくらい」と多くはない。だからこそこの期間に勉強をする習慣をつけることを促している。
「3年生に話したのは、受験勉強することです。夏の大会前では受験勉強できる状況ではありません。逆にいえば、今の時期に1か月出来るのは幸せだと思います。コロナが明けたら野球に集中する。いまは受験勉強の練習、準備期間だと捉えています。
これまで勉強をやらなかった選手が引退して、すぐに勉強に集中するのは難しい。やはり自ら勉強する癖をつける。再開できたら野球に集中して取り組んでいきます」
いわゆるメリハリ。練習ができる期間でも、練習ができない期間でもどんな行動が自分たちにとってプラスになるのか。それを常に考えるのが光泉スタイルなのだ。
古澤監督は3年間で今の3年生達の意識が変わっていき能動的に取り組む姿を目の当たりにしてきた。だからこそ夏の開催をしてほしい想いを持っている。
「夏の大会ができないと3年生の集大成にもならないので、子どもたちのために救われる場があってほしいです。甲子園ができれば理想ですが、せめて県大会だけでもやってあげたいです」
現在の状況が収束し、今までの成果を発揮する舞台が用意されることを願いたい。
(取材=田中 裕毅)
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