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運動神経と巧みな動き

2020.05.12

運動神経と巧みな動き | 高校野球ドットコム
正しい動作の反復や上手な人の動作を真似ることは脳の神経回路を刺激し、動作パターンの習得につながる

 野球の練習をみていると、短い時間で教えられた課題をパッとこなしたり、巧みな動作がすぐに再現できたりする人がいます。周りから「運動神経がいい」「センスがいい」といった評価をされることも多いと思いますが、そもそも運動神経とはどのようなものを指すのでしょうか。

 皆さんが普段口にする「運動神経」ですが、実は2種類の意味があります。

1)脳から筋肉への命令を伝える末梢神経のこと(情報の通り道)
2)脳の神経回路に数多くの運動パターンを学習させて、適応すること(情報の蓄積と選択)

 もともと運動神経(1)は誰にでも備わっているものですが、運動が上手くなるためには、脳にさまざまな運動パターンを覚え込ませることや、脳から体へ送られる指示がより正確で、適切なものになるように再現性を高めることが必要となってきます。これが脳と体の協調性を高めることにつながります。巧みな動きを可能とする「運動神経(2)の鍛え方」にはいくつか方法があります。

 まずは自分が頭の中でイメージしている動きと実際の動きの違い(ズレやギャップなど)を把握することです。ピッチングフォームやバッティングフォームを動画撮影して自分で確認してみましょう。イメージと実際の動作が違っているのであれば、その部分を修正しながら繰り返し練習を行うようにします。

 また動作パターンを習得するためには、正しい動作を繰り返し行う反復練習が必要となってきます。特にうまく再現できたときは意識して行うようにしましょう。いわゆる「運動神経(2)がいい」人は、他人の動きを正確に把握し、それを頭の中でイメージして忠実に再現することができる人を指すことが多いと考えられます(私見ですが、他人のフォームを真似るのが得意な選手はこの能力が高いのではないでしょうか!)。

 その一方で練習に一定期間休みを設けることで、脳の神経回路が適応する場合もあります。これは学習直後よりも一定時間を経た方が記憶の保持量が増加するという「レミニッセンス(記憶改善現象)」によるものと言われています※。練習をしていないときや、寝る前などにイメージトレーニングを行うと寝ている間に神経回路のパターンが改善され、よい動作につながるのではないかと考えられます。

 運動神経は生まれつきのものではなく、学習によって動作パターンを習得するとよりよいパフォーマンスが見込めるものといえます。より巧みな動きを実現させるためにも運動神経を理解した上で、それぞれの練習に取り組むようにしてみてくださいね。

※参考書籍)「子どもの学力と運脳神経を伸ばす魔法のドリル」深代千之著(カンゼン)

文:西村 典子
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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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