藤平尚真、黒川史陽はどうなる? 意外に少ない楽天の高卒選手
2016年1位指名を受けた藤平尚真(横浜高出身)
ここ数年の楽天はオフシーズンに大型補強を敢行している。2018年オフには浅村栄斗を迎え入れ、2019年オフには鈴木大地と国内FA権を行使した目玉選手を相次いで獲得した。
それ以外にも金銭トレードで涌井秀章、オリックスを自由契約となったステフェン・ロメロと戦力アップに余念がない。もちろん外国人選手もしっかりと獲得しており、チームの幹となる部分を外部からの補強で補っている。
ドラフト会議でも時間のかかる高卒選手よりも、大卒や社会人出身の即戦力候補となりうる選手の指名が多い。
1位指名だけを見ると森雄大(東福岡/2012年)、松井裕樹(桐光学園/2013年)、安樂智大(済美/2014年)、オコエ瑠偉(関東一/2015年)、藤平尚真(横浜/2016年)と5年連続で高卒の目玉選手を獲得してきた。
しかし、ドラフト全体で見ると高卒選手の指名は多くない。全指名選手の半数以上が高卒選手となっているのは、分離ドラフトが終了した2008年以降では2011年(6名中3名)、2012年(6名中4名)の2回だけ。2013年から2019年までの7年間は、大卒や社会人出身の選手が中心となっっているわけだ。
その高卒選手が主体となった2012年、2013年ドラフト指名組の面々を見ると、順調に成長し戦力となったのは島内宏明(星稜-明大/2011年6位)、岡島豪郎(関東学園大付-白鴎大/2011年4位)、則本昂大(八幡商-三重中京大/2012年2位)と大卒組が多い。
高卒組では釜田佳直(金沢/2011年2位)が、これまでに21勝を挙げているもののドラフト2位ということを考えると少し物足りない。その他の選手は一軍の戦力となりきれていないのが実情だ。
分離ドラフト以降の高卒指名選手を見ても、現時点において順調に育ったと言えるのは松井と辛島航(飯塚/2008年6位)とふたりしかいない。高卒指名選手の結果が伴わないことが、大卒や社会人出身選手を多く獲得する理由のひとつかもしれない。
はたして藤平や黒川史陽(智弁和歌山/2019年2位)といった有望株をはじめ、ここ数年で獲得した高卒選手は結果を残すことができるだろうか。高卒選手の育成がうまくいけば、それは当然戦力の底上となり、石井一久GMが目指す「中長期的に優勝争いのできるチーム」となるはずだ。
【楽天の高校生指名が半数以上だったドラフト】
※2008年以降
※育成はのぞく
<2012年/6名中4名>
1位:森雄大(東福岡)
2位:則本昂大(八幡商–三重中京大)
3位:大塚尚仁(九州学院)
4位:下妻貴寛(酒田南)
5位:島井寛仁(熊本G)
6位:柿澤貴裕(神村学園)
<2011年/6名中3名>
1位:武藤好貴(札幌藻岩-JR北海道)
2位:釜田佳直(金沢)
3位:三好匠(九州国際大付)
4位:岡島豪郎(関東学園大付-白鴎大)
5位:北川倫太郎(明徳義塾)
6位:島内宏明(星稜-明大)
(記事:勝田聡)
関連記事
◆福留孝介タイプと評される黒川史陽(東北楽天)のパフォーマンスが高卒新人離れ!
◆適性はリリーバーか?東北楽天5位の154キロ右腕・福森耀真(九産大)の投球を分析
◆【ドラフト総括・東北楽天ゴールデンイーグルス】名門で1年からレギュラーの黒川史陽ら、6名の高卒を指名!