News

2019年は吉永健太朗、島孝明、園部聡の有望な才能を持った逸材たちが勇退を決める

2019.12.11

2019年は吉永健太朗、島孝明、園部聡の有望な才能を持った逸材たちが勇退を決める | 高校野球ドットコム
左から園部聡、吉永健太朗、島孝明

 2019年度は阿部慎之助福浦和也といった大打者も引退したが、有望な若手選手が引退を表明している。

 まずその1人が吉永健太朗日大三出身)だろう。2011年夏の甲子園優勝投手となり、直後の第9回アジアAAA野球選手権では決勝戦の韓国戦では1失点完投勝利。アジア制覇に大きく貢献した。上半身、下半身が連動したバランスの良いフォームから繰り出す140キロ後半の速球、鋭く落ちるシンカーを投げ分けるピッチングはまさに世代ナンバーワンにふさわしいピッチングだった。その後、早大に進み、2年まで通算10勝を上げるが、その後は苦しみ、3年以降は1勝しか挙げられず、JR東日本へ。JR東日本に進んでも故障に苦しみ、ついに引退となった。プロ入りできず、引退を惜しむ声は非常に多い。

 2人目は島孝明東海大市原望洋出身)。名門・佐倉シニア出身の島は高2年で、常時140キロ台の速球を投げられる右腕へ成長し、3年生になると最速153キロに。島見たさに球場に多くの人が集まっていたのを覚えている。最後の夏は準々決勝で早川隆久木更津総合)と投げ合い、防御率0.00の快投を見せた。常時140キロ後半の速球、130キロを超える高速スライダーをコントロールよく投げ分けるピッチングは高校生投手の中でも抜きんでているものがあった。そしてU-18代表にも選ばれ、アジア選手権優勝に貢献した。

 地元球団・千葉ロッテから3位指名を受け、期待は高かった。しかしプロ入り後、イップスに苦しみ、3年目に150キロを投げられるまでに復活したが、戦力外通告。球団から育成契約を打診されたが、熟考の末、現役引退。大学進学を決めた。島は自身のSNSで「家族と話し合いをして、まだ21歳というのもありまして、次のキャリアをスタートさせるにはこのタイミングがベストだろうという考えに至りました」とつづっている。

 これほど才能溢れた投手が次のキャリアをスタートするのは相当な決断だったはず。これまでの野球人生で得た経験を次のキャリアで生かしてほしい。

 そして3人目は園部聡(聖光学院出身)だ。高校時代は通算59本塁打を放つスラッガーとして注目され、U-18代表にも選ばれ、2013年のIBAF 18U ベースボールワールドカップ2013では主に5番ファーストとして出場し、準優勝を経験。木製バットへの対応力も高く、活躍を予感させた。しかしプロでは通算1本塁打にとどまり、2018年に戦力外。2019年から社会人野球・JX-ENEOSへ移籍し、日本選手権では7番ファーストで出場し、2試合連続安打を記録するが、勇退を決断した。

 この3人は高校日本代表にも選ばれたように技術の高さとスケールの大きさも秘めた選手たちで、取り組む姿勢もよく、プロで活躍できる素質を持った選手だった。

 この3人を見て、改めて第一線で活躍し続ける難しさ、常に成長し続ける難しさを実感する。

 これからの野球界はそういう選手をスポイルことなく大成はさせてほしいし、またぜひこの3人には今までの野球人生で得た経験を生かして、社会で活躍してほしい。

(記事=河嶋 宗一

関連記事
立教大の16勝左腕・田中は大阪ガスへ!両投げ投手・赤塚は海外留学、元浦学エース・江口はJALへ
駒大卒部生の進路を公開!U18代表・上野は三菱日立パワーシステムズ、甲子園出場の小川(近江出身)は永平寺へ
U18代表の飯塚 脩人(習志野)を筆頭に今年の早稲田大スポーツ推薦合格者4名の顔ぶれが豪華すぎる!!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.18

【岩手】一関二、盛岡誠桜などが初戦を突破<春季大会>

2024.05.18

【関東】昌平・山根が2発5打点、東海大相模・4番金本が2ランなどで初戦を快勝、東海大菅生は山梨学院を完封<春季地区大会>

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?