日本のプロを知り尽くした男が侍Jの前に立ちはだかる!元ヤクルトの韓国代表・ハ・ジェフン!【プレミア12】
プレミア12では、日本は16日いよいよ韓国と対戦する。韓国はKBOのスターたちを揃えてきたが、その中で異色の経歴を持った選手がいる。それが今季のKBO最多セーブ王を獲得したハ・ジェフンだ。
ジェフンはNPB、日本の独立リーグの両方を経験しており、今大会の代表選手で唯一のNPB経験者として首脳陣の期待も高まっている。そんなジェフンの日本行きに携わったエージェント・金弘智(キム・ホンジ)氏に今回は、お話しを伺った。
韓国代表・ハ・ジェフン
ジェフンは高校卒業後、KBO入りせず、MLBに挑戦したのち、シカゴ・カブスとマイナー契約を結んだ。ジェフンだけではなく、この世代では多くの高校生がメジャー挑戦した。
その背景としては、2006年のWBC3位、2008年の北京五輪優勝を果たし、韓国選手の需要がメジャー内で高まっていたことがある。ただ、ジェフンは挑戦した選手の中でも評価は高いとはいえなかった。
アメリカでの7年間は、思うような活躍ができず、MLB昇格もなし。そこでKBOでプレーしたいと思ったジェフンだったが、KBOのルールで、『KBOを経ず、海外球団に所属した選手は退団後から2年間、ドラフト指名を受けられない』というルールがあった。
そこで、ジェフンはキム氏を頼って、NPBか、独立リーグでプレーする道を模索し、2016年、徳島インディゴソックスに入団した。ジェフンは30試合で、6本塁打、20打点、打率.364の活躍を見せ、5月下旬に東京ヤクルトの入団が決まった。
だが、一軍17試合で、打率.225と思うような結果を残せず、1年限りで退団。再び徳島に戻ったジェフンは二刀流として活躍。2017年は独立リーグ日本一にも貢献。2018年も打率.328、4本塁打、34打点の活躍を見せていたが、この時期からジェフンはKBOに復帰したいという思いを見せていた。
その情報をつかんだKBOの各球団がジェフンを視察。二次ドラフトでSKワイバーンズから投手として指名された。これまで二刀流ながらも野手をメインとしてプレーしていたジェフンだったが、SKワイバーンズは投手として指名した。その理由をキム氏は、「練習のピッチングの映像が決め手になったようですね」と語る。
また、ある人物も投手・ジェフンを推していた。それがCPBLのレジェンドスラッガーで、2016年に徳島でプレーした張 泰山だった。
「チャンさんは、ジェフンに話さず、私に『あいつは投手がいいよ!』と打ち明けてくれました」と振り返るキム氏。
2019年、SK球団、レジェンドの評価は確かだった。ルーキーながら、クローザーに定着したハ・ジェフンは最多セーブを獲得。さらにオールスターにも出場した。今ではすっかりと人気投手になったとキム氏は語る。
「なかなかない経歴を持った選手ですし、それで結果を残しているので、人気になっているのかもしれませんね」
またジェフンはグラウンドを離れれば底抜けに明るく、野球になれば真剣な表情でプレーする。そういうギャップも人気の一因になっているようだ。
韓国代表入りしたジェフンは、ここまで2試合を投げ無失点の好投。金卿文代表監督の評価も高まっている。
キム氏はここまでの活躍について徳島インディゴソックスでプレーした3年間が大きかったと語る。
「投手としての活躍は徳島での3年間が大きかったと思います。試合での経験、投手としての練習、トレーニングが今につながっていると思います」
16日は、久しぶりの日韓戦。注目が高まる中、ジェフンは日本の野球ファンを驚かせる快投を見せることができるか楽しみだ。
(記事=河嶋 宗一)