甲子園・W杯合わせて10勝。水上桂(明石商)は大舞台で勝てる捕手として邁進中!
9月3日、第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ5日目。侍ジャパンU-18代表vsパナマの一戦。侍ジャパンU-18代表は、苦戦の末、パナマを5対1で破り、対戦成績を4勝1敗として、スーパーラウンド進出を決めた。今回は勝利のキーマンとなった選手をインタビュー。
5試合中、4試合のマスクをかぶり、勝利に導き、首脳陣、投手陣の評価を高めている水上桂(明石商)に迫る。
水上桂(明石商)
5試合35イニングで、防御率1.80と抜群の安定感を発揮している侍ジャパンU-18代表の投手陣。その投手陣の持ち味を引き出しているのが水上だ。代表入りが決まり、水上は佐々木朗希をはじめとしたレベルが高い投手とバッテリーを組むことを心から楽しみにしていた。その投手陣の持ち味を引き出すために研究とバッテリー同士の話し合いは惜しまなかった。
水上は大会後、必ず投手と一緒に相手国の映像を宿舎で見て、どんな攻めなのかを有効なのかを話し合った。水上に他国の印象を聞くと、スラスラと打者の傾向を話す。今回対戦したパナマの印象について問われると、
「外角球が強く、特にリーチが長いので、僕たちでは届かないと思ったコースでも、打てるのが特徴だと思いました。今日は西(純矢)でしたので、ストレートはインコースを使い、フォークの攻めがカギだと思っていました」
西は試合前プラン通りに投げることができていた。西は自分のボールが投げることができなかったと語るが、水上は「球威もあり、フォークが良く、組み立てがしやすかったです。パナマの打者は踏み込んで、外角球もヒットにできる力があるので、インコースも揺さぶっていきましたが、西はそこに投げることができていました」と好投の称えた。
そしてバットでも魅せる。6回裏、インコースを振りぬき、レフトポールに直撃する本塁打を放った。この一打には水上は満面の笑みで振り返った。
「打ったのはインコース。しっかりと腰を回転できてよかったです。僕はホームランを打つ選手ではないのですし、これまで全然打てなくて、前の試合から、自分の前の打者が敬遠されて、僕勝負になって打てずに悔しい思いをしていたので、本当に打てて良かったです」
攻守で活躍を見せた水上に対し、投手陣は絶大な信頼を置いている。パナマ戦でバッテリーを組んだ西は
「水上は自分の意見をサインで主張しつつ、僕が投げたいボールもしっかり投げさせてくれるリードをしてくれます。
キャッチングもいいですし、間合いの取り方も非常に良いので、すごく頼りになる良いキャッチャーだなと思っています」
また31日の南アフリカ戦で5回無安打の好投を見せた浅田将汰(有明)も「キャッチングが良いので、本当に投げやすいです。僕が投げる落ちるボールをしっかりと捕ってくれるので、頼もしいですね」とキャッチングの良さを絶賛する。
そして水上も投手を信頼してリードする。だからこそ安定感のあるピッチングが成り立つのであろう。
水上がいなければ今の投手陣の活躍はなかった。そしてスーパーラウンド進出が決まった侍ジャパンU-18代表。Aグループで1位通過が決まっている韓国との対戦が決まっている。
韓国の印象について水上は「勢いに乗ったら止められないチーム。ストレートにも強い打線ですし、怖さはあります」と警戒をしている。それでも戦える手ごたえはある。オープニングラウンドで登板がなかった佐々木、奥川恭伸がスーパーラウンドで復帰するからだ。水上はこの2人とバッテリーを組んで、世界大会に臨むことを心から楽しみにしていた。
明石商の正捕手として、春夏の甲子園で計6勝を導き、そしてこの大会でも4勝を導いた水上は、今年の高校生では、最もチームを勝たせる捕手として邁進をしている。
(記事=河嶋 宗一)