高知vs高知商
高知、安岡 拳児―森木 大智の完封リレーと豪快3発で前回覇者・高知商を破る!
3回表高知先頭打者の1番・西村 唯人(3年・三塁手)が先制ソロを放つ
「今日は自分の調子がいい悪い関係なく全力で行こうと思った」高知・安岡 拳児(2年・180センチ80キロ・右投右打・室戸市立室戸中出身)が自己最速となる140キロのストレートとスライダーを投げ込み序盤を順調に抑えれば、高知商の絶対的エース・真城 翔大(3年・177センチ75キロ・右投左打・四万十市立中村中出身)も、自己最速143キロストレートと130キロ台のツーシーム・シンカーを有効に配して2回を3奪三振。至高の投手戦ではじまったライバル対決は「意外な展開」と「怪物の降臨」が流れを大きく変えた。
「意外な展開」は高知1番・西村 唯人(3年・三塁手・右投左打・172センチ73キロ・高知中出身)の先制ソロにはじまり、5番・中越 逸斗(2年・左翼手・右投左打・171センチ74キロ・右投左打・高知中出身)の中押し3ラン、最後は平尾 暁大(3年・捕手・右投右打・166センチ74キロ・高槻市立芝谷中<大阪>出身)のダメ押し2ランで締めた1試合3アーチである。
高知・濵口 佳久監督は試合後要因について問われ「(高校通算14本塁打の)西村は調子が良かったので大会中に出るかなと思ったが、あとはたまたまです」と笑顔でかわしたが、実際には「甘いボールを振り抜く」チーム方針と「僕はインコースが苦手なことを真城は知っているので、あえてインコースに張って低めを打った」西村に代表される相手を上回る探究によるものであった。
骨盤への乗せ方を変え、制球力が安定した高知・森木 大智(1年)
そして「怪物の降臨」とはもちろん高知中(軟式)3年時に中学軟式・硬式野球史上初となる日本人150キロをマーク。チームの春夏中学軟式野球連覇に大きく貢献した森木 大智(高知1年・右投右打・184センチ81キロ)のことである。この日6回裏から登板した森木は「7~8割の力で落ち着いて投げられた」と本人も振り返ったように3回出した148キロ以上に、アウトローに146・147キロのストレートをズバズバと決め、スライダー・チェンジアップの制球も準々決勝より格段に進化。結果4回50球を投げ1安打5奪三振1死球無失点で高知の4年ぶり32回目の決勝進出に導いて見せた。
そして7月28日(日)13時からの決勝戦は4年ぶりに「高知高校野球名勝負数え歌」明徳義塾vs高知に。その中心人物は岡豊に4対1・逆転勝ちして一足先に決勝戦進出を決めた明徳義塾・馬淵 史郎監督をして「高校1年時の時点では藤川 球児(高知商~阪神タイガース~MLBシカゴ・カブスなど~高知ファイティングドッグス~阪神タイガース)より上。今の状態でもNPBの二軍ならいける」と絶賛した高知・森木 大智をもって他にない。
(文=寺下 友徳)