近本光司と辰己涼介 社高校が生んだ2人の新人王候補
7月13日に行われたプロ野球オールスターゲーム第2戦。阪神の近本光司が躍動した。初回に先頭打者本塁打を放つと、その後も二塁打、安打と3回までに3安打猛打賞と勢いは止まらない。
5回の第4打席では惜しくも二塁打となり、迎えた7回の第5打席でみごと左中間を破り三塁打を記録。オールスターゲームでは、古田敦也(元・ヤクルト)以来、2人目となるサイクル安打を達成した。
その近本は兵庫県の公立校である社高校出身だ。同校から関西学院大学から大阪ガスを経て2018年ドラフト1位で阪神に入団した新人。そんな近本がルーキーイヤーに大きな偉業を成し遂げたのである。
同一年度にドラフト1位が複数名は兵庫県の高校で2例目
大学時代の辰己涼介
近本の母校である社高は公立高校ということもあり、決して強豪校というわけではない。
激戦区の兵庫を勝ち抜いて全国高校野球選手権大会に出場した経験はなく、甲子園の舞台に立ったのは、2004年の選抜高校野球に1度出場したのみ。
しかし、近本と辰己涼介(楽天)と2018年のドラフト1位選手2人を輩出した。兵庫県の高校で同一ドラフトにおいて、複数名の選手が1位指名された例は1980年の兵庫滝川高校が中尾孝義(中日1位)、石本貴明(近鉄1位)のみ。それ以来2例目のできごとだった。報徳学園高校や育英高校といった兵庫県内屈指の強豪校でも、なし得なかった快挙である。
両選手とも現時点では一軍に定着中しており、近本は「1番・中堅」としてレギュラーの座をほぼ手中に収めた。ドラフト時には長打力に疑問符がついていたものの、ここまでに6本塁打をマークしており不安はなさそう。
一方の辰己は打順こそ固定されていないが、中堅のポジションで試合に出場し続けている。オコエ瑠偉や田中和基といった若手選手たちとのレギュラー争いにおいて一歩リードした格好だ。
両選手ともにこれからの後半戦で結果を残すことができれば、新人王のタイトルも夢ではない。兵庫県の公立高校から同一年度にセ・パ両リーグの新人王が誕生するのだろうか。両選手の動向を見守っていきたい。
<今シーズン成績>
近本光司(阪神)
85試合/打率.268/6本塁打/24打点
辰己涼介(楽天)
67試合/打率.235/2本塁打/18打点
※数字は2019年7月16日終了時点
(記事・勝田 聡)
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