Interview

全ての練習をピッチングに繋げる!151キロ右腕が辿ったエースへの道のり 原田泰成(東海大)【前編】

2019.05.04

 現在、巨人の指揮を執る原 辰徳監督をはじめ、多くの名選手を輩出していることで知られる首都大学の盟主・東海大。その東海大で昨春、リーグの最優秀投手に選ばれるなどピッチャー陣の柱として活躍しているのが原田 泰成投手だ。

2年夏に甲子園のマウンドを経験するも、その後は悔いが残る結果に

全ての練習をピッチングに繋げる!151キロ右腕が辿ったエースへの道のり 原田泰成(東海大)【前編】 | 高校野球ドットコム
インタビューを受ける原田泰成(東海大)

 小学校1年から父や兄の影響で野球を始めたという原田投手。しかし、その頃は野球が好きではなかったという。「小学生時代は練習がきついのにチームはあまり強くなかったので、正直、楽しくなったんです。でも、中学生になってからは徐々に結果が出始めたこともあって野球をするのが楽しくなっていきました。」

 その言葉の通り、市原ポニーベースボールクラブで全国優勝を飾ると、高校は再び兄の背中を追って東海大望洋(千葉、現:東海大市原望洋)へ進学することとなった。「高校に入った時は、みんな体が大きくてびっくりしました。特に東海大望洋はウエイトトレーニングに力を入れているチームなので体の横幅が広く、背も高かったのが印象に残っています」

 ただ、中学時から厳しい練習をしてきたこともあって、「高校に入ってからもすんなりチームに溶け込めた」という原田投手。ウエイトトレーニングも精力的にこなしていった。

全ての練習をピッチングに繋げる!151キロ右腕が辿ったエースへの道のり 原田泰成(東海大)【前編】 | 高校野球ドットコム
東海大望洋時代の原田泰成

 「冬場は毎日。夏場も週に2、3回はウエイトをする日があって、長い時は2時間半くらいやっていました。主に下半身と背中を鍛えていたのですが、スクワットは160kgのバーベルを担いで10回。あとはランジもよくやりました。それからデッドリフトでは200kgのバーベルを持って10回ほど上げていましたね。そのおかげで入学時は70kgくらいだった体重が90kgまで増えて、下半身がどっしりしました」

 こうして体を大きくした効果もあって「腕が振れるようになった」ことから、2年春の4月にはそれまで130キロ台だった球速が急上昇。140キロを突破し、いきなり144キロをマークすると、同年夏には甲子園に出場。初戦で熊本城北(熊本)に敗れたものの、先発のマウンドを任された。「甲子園でプレーできて、本当にうれしかったです。試合が始まった時はかなり緊張していましたが、たくさんの観客の前で投げられて良い経験になりましたし、とても楽しかったですね」

 ただ、その後は思うような結果を残すことはできなかった。「甲子園に2年生で出場することができて自信は付きましたが、それが過信になってしまったのだと思います。今になって振り返ってみると、自分が投げるボールのことばかりに目がいってしまい、周囲を見る余裕がなくて視野が狭くなっていた。それで結果が出ず、そのことがさらに力みにつながって悪循環になっていたんです。」

[page_break:『どうやってピッチングにつなげていくのか』を常に考えながら練習する]

『どうやってピッチングにつなげていくのか』を常に考えながら練習する

全ての練習をピッチングに繋げる!151キロ右腕が辿ったエースへの道のり 原田泰成(東海大)【前編】 | 高校野球ドットコム
キャッチボールをする原田泰成(東海大)

 こうして悔いを残して高校を卒業した原田投手。系列校の東海大に進学することになったが「大学では良い成績を残したい。1年目から公式戦に出場して活躍したい」と、強く思うようになったという。そこで、夏以降も野球部の練習に出続け、父親が助監督をしていた社会人チームの日本製紙石巻の練習にも参加するなど、研鑽を積んでいった。

 しかし、東海大1年時のリーグ戦登板は春秋通じてわずか1イニングのみ。いきなり厳しい現実を突きつけられたが、それでも腐ることはなかった。当時、東海大に在籍していた丸山泰資(中日)などのフォームを参考にして盗める部分は盗み、その一方でランニングの量を増やした。

 「どこを鍛えたいかによってメニューを変えているのですが、短い距離をダッシュしたり、長めの距離をインターバルトレーニングで走ったりしています。そして、ランニングをする時に注意しているのが走る時の姿勢です。背筋をしっかりと伸ばして走ることで、ピッチングの際に疲れても体がブレずに投げ続けることができると思います。それから、腕の振り方も大切にしていて、腕振りを意識することで上半身と下半身を連動して動かすことを意識しています。」

 こうした取り組み方は、野球をしている高校生に向けてのアドバイスにもなるだろう。

 「どんな練習に対しても、『どうやってピッチングにつなげていくのか』を常に考えながら練習するべきだと思います。ランニングひとつをとっても、ただ全力で走れば良いという訳ではなく、状況によっては少し余裕をもって走った方が効果的なことだってあると思うので、高校生の頃からきちんと練習の意味を考える習慣を付けておいてほしいです。」

 前編はここまで!後編では飛躍のきっかけとなった練習内容やその後のリーグ戦での活躍について伺いました。後編もお楽しみに!

文=大平 明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.15

西東京大会は激戦ブロックが続出!昨夏甲子園出場の日大三は国士舘と同ブロック!【2024年夏の甲子園】

2024.06.15

東東京の横綱に上り詰めた帝京、関東一の軌跡~前田三夫と小倉全由、2人の名将~【東西東京大会50周年物語③】

2024.06.15

【福島】日大東北がサヨナラ勝ち、帝京安積はコールド勝ちで4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.15

今年の東京は「スラッガー大豊作世代」! 超進学校に現れた「プロ入り明言」の二刀流、木製で本塁打量産の早実のスラッガーなどが夏を盛り上げる【注目選手リスト】

2024.06.15

“超不人気”だった東京の高校野球を「3つの出来事」が変えた! 東京ローカルチーム・桜美林の全国制覇、都立高の甲子園出場、そして……【東西東京大会50周年物語②】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得