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知って驚く!選抜の抽選方式は、複雑だがすごい工夫が凝らされている!

2019.03.15

知って驚く!選抜の抽選方式は、複雑だがすごい工夫が凝らされている! | 高校野球ドットコム

 第91回選抜高等学校野球大会の組み合わせ抽選会が15日、大阪市内で行われました。

 春のセンバツは地区別対抗にするために、複雑かつ、工夫が凝らされた抽選方式です。先日もこんな感じの手順で紹介しました。

・前日のキャプテントークで集合した際に予備抽選。
・全ての抽選順は予備抽選の若い順で行う。
・同一地区の出場校同士は少なくとも準々決勝まで、また同一都道府県の出場校同士は決勝までの対戦を避けるためブロック及びゾーンを振り分ける。
・ブロック及びゾーンは、2分割のXとY、4分割のABCD、8分割のイロハニホヘトチ。

・抽選手順
①関東・東京地区7校のブロック分け、その後本抽選
②近畿地区6校のブロック分け、その後本抽選。
③九州地区5校のブロック分け、その後本抽選。
④中国地区3校、四国地区3校のブロック分け、その後本抽選
⑤北海道地区2校、東北地区2校、東海地区2校、北信越地区2校のブロック分け、その後本抽選。

・組み合わせ決定後に32校の主将で選手宣誓の抽選

 インターネット中継をご覧になった方も多いと思いますが、今回はこの順番で行われた抽選を振り返ってみましょう。
一部、 抽選会での取材やアナウンスされていた抽選方法に基づいて、解説を入れていきます。

 ①の関東・東京の抽選ではまず、2校出場の横浜桐蔭学園の2校を2分割XとYのゾーンに分ける抽選をします。

 予備抽選の若い番号だった横浜が先に引き、【X】。次に桐蔭学園が【Y】に決まりました。
続いて、残りの5校(予備抽選で習志野山梨学院国士舘石岡一春日部共栄の順)にXとYに分けます。

習志野【X】
山梨学院【Y】
国士舘【Y】
石岡一【X】
春日部共栄【X】

と決まりました。


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 次に会場に表示されているX列とY列に分かれて、それぞれ予備抽選に若い番号順に並びなおします。そしてXゾーンから、8分割のイロハニホヘトチのブロック抽選をした後、本抽選。

(Xゾーン)
習志野【ロ】→本抽選【8】
横浜【ハ】→本抽選【10】
石岡一【二】→本抽選【16】
春日部共栄【イ】→本抽選【4】
(Yゾーン)
山梨学院【ホ】→本抽選【17】
国士舘【ト】→本抽選【26】
桐蔭学園【チ】→本抽選【30】

 ②の近畿6校では、まず2校出場の京都と和歌山を2分割のXとYに分けた後、残りの明石商履正社をXとYに分けます。同一都道府県同士は決勝まで当たらないという原則ですが、今回は京都と和歌山が2校ずつで、残り2校だったので、必然的に明石商履正社も決勝まで当たらないという状況が生まれました。これは年にとって全体の校数のバランスが違うので、毎年一緒というわけではありません。今年はたまたまこういう形にしないと、後の地区で矛盾が出てしまう可能性があったからです。

龍谷大平安【X】
福知山成美【Y】
智辯和歌山【Y】
市立和歌山【X】
明石商【Y】
履正社【X】

 次は①と同じく、XとY列に予備抽選順に並びなおして、8分割のイロハニホヘトチを引いた後、本抽選です。

(Xゾーン)
龍谷大平安【二】→本抽選【14】
市立和歌山【イ】→本抽選【2】
履正社【ロ】→本抽選【5】
(Yゾーン)
智辯和歌山【チ】→本抽選【32】
明石商【ト】→本抽選【25】
福知山成美【ホ】→本抽選【20】

 ここで、明石商vs国士舘のカードが決まりました。

 ③は九州5校。まずは大分2校をXとYに分けた後、残る3校をXとYに分けます。

大分【Y】
明豊【X】
筑陽学園【Y】
日章学園【X】
熊本西【Y】

 Xは2校になったため、4分割のAかBを引いて本抽選。Yは3校のため、ホヘトチを引いて本抽選です。

(Xゾーン)
明豊【B】→本抽選【9】
日章学園【A】→本抽選【7】
(Yゾーン)
筑陽学園【ホ】→本抽選【19】
大分【ト】→本抽選【28】
熊本西【チ】→本抽選【31】

 ここで決まったカードは、

明豊vs横浜
日章学園vs習志野
筑陽学園vs福知山成美
熊本西vs智辯和歌山です。


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 この時点でXゾーンが9校、Yゾーンは9校と同じ数になりました。ここが今回の抽選の最大のポイントです。

 関東・東京と、九州は奇数のため10校と8校で偏る可能性がありました。その場合は次の中国3校と四国3校で調整を行うことになっていました。例えばX10校とY8校だったら、Xが中国と四国1校ずつ、Yに中国と四国が2校ずつという感じになるのです。XとYが9校ずつとなったことで、両地区で調整を行うことなく済みました。

 話を抽選手順に戻します。

 ④は中国3校と四国3校。予備抽選で最も若い番号を持っていたのが四国の富岡西でしたので、四国→中国になります。

 四国3校のXとYの抽選。

富岡西【Y】
松山聖陵【Y】
高松商【X】

 Xは高松商1校ですので、そのまま本抽選。Yの2校は4分割のCかDを引いた後に本抽選です。

(Xゾーン)
高松商→本抽選【3】
(Yゾーン)
富岡西【C】→本抽選【23】
松山聖陵【D】→本抽選【27】

 四国が終わって決まったカードは、

高松商vs春日部共栄
松山聖陵vs大分

です。

 次は中国。広島から2校出場でXとYに分けるので、米子東が2校のゾーンに入ることは抽選前から決まっていました。もう一つは、予備抽選で四国が先になったことで、後になった中国の米子東は、XかYかを引かなくても、どちらかがわかるという状況が生まれました。今回は四国でXが1校、Yが2校になったため、中国ではXに2校、Yに1校となり、米子東は必然的にXとなります。これは残り4地区8校の段階で、XとYを4校ずつにしないと、矛盾ができてしまうからです。つまり、24校終了でX12校、Y12校という同数という状況なんですね。

呉【X】
広陵【Y】
米子東【X】

 Xの2校はAかBを引いて本抽選。Yは広陵1校のため、そのままフリー抽選です。

呉【A】→本抽選【1】
米子東【B】→本抽選【11】
広陵→本抽選【21】

 ここで、呉vs市立和歌山の開幕戦が決定。呉は前回出場した2年前も開幕戦でした。


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 最後は⑤の北海道、東北、東海、北信越の2校ずつ計8校です。まずはXとYの抽選。

札幌第一【Y】
札幌大谷【X】
八戸学院光星【Y】
盛岡大附【X】
東邦【Y】
津田学園【X】
啓新【Y】
星稜【X】

 次にX列4校、Y列4校に分かれて、地区に関係なく予備抽選の若い番号順に並びなおし、フリー抽選となります。

(Xゾーン)
盛岡大附→本抽選【15】
津田学園→本抽選【13】
札幌大谷→本抽選【12】(この時点で星稜履正社の相手に確定したため、会場が沸く)
星稜→本抽選【6】
(Yゾーン)
八戸学院光星→本抽選【22】
啓新→本抽選【29】
東邦→本抽選【24】
札幌第一→本抽選【18】

 これで全カードが決定しました。

 複雑な抽選は、出場校の監督や責任教師に聞いても、「わかりにくいですね」という声が多いです。

 でも、全て地区をうまく分けるための究極の抽選方式です。一般枠の校数は32校の際にはほとんど変わりませんが、明治神宮大会枠がどの地区にいくのか、同一都道府県から2校出場するのはどこか、そして21世紀枠など、毎年微妙に地区の校数は違ってきます。

 一昨年は近畿7校と北海道1校を抱き合わせにしたことにより、近畿と北海道が実質同じ地区扱いとなって、準々決勝まで対戦しないという図式もありました。

 これもすべてをうまくするために、考えつくされたもので、大会本部の抽選会担当の方には本当に頭が下がる思いです。

 さあ、組み合わせが決まりました。23日の開会式では32校の中から抽選で選ばれた、広陵秋山功太郎主将が選手宣誓を務めます。開幕が待ち遠しくなってきましたね!

(文=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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