元MLBスカウトの言葉から紐解く、結城海斗「16歳の渡米」
MLBのスーパースター・イチロー選手
2018年、日本野球界に驚きのニュースが飛び込んできた。メジャーリーグ、カンザスシティ・ロイヤルズが16歳の日本人投手・結城海斗投手と契約を結んだと発表したのだ。
大阪の河南リトルシニア出身の結城投手は、中学時代から注目を集める存在だった。身長188cmという恵まれた体格を十分に生かし、直球の最速は144kmを記録。強豪校からの誘いも多くある中で、高校には進学せず、渡米を決断し、ロイヤルズとの契約前からアメリカに渡る準備を進めていたという。
近年、メジャーリーグで実績を残すことが出来ない日本人選手が多くいる中で、中学を卒業したばかりの16歳の少年が、日本の高校野球を経ずにメジャーと契約したことに大きな注目が集まったが、早すぎるとも感じられるこの挑戦には賛否両論が集まった。
以前、高校野球ドットコムでは、ドジャースのスカウトとして黒田博樹投手や斎藤隆投手の獲得に尽力し、現在はアリゾナ・ダイヤモンドバックスの顧問を務めている小島圭市氏にインタビューを行った。その際、小島氏は日本人のメジャー挑戦について次のように語っていた。
「日本からはスーパースターは生まれないんじゃないかと思っています。
日本の野球界には中学、高校、大学、社会人、プロとありますが、これらの段階を踏んでアメリカにきた選手には、正直、魅力を感じないんですよね。日本の『やらせる野球』では、“同じ花”しか咲かない。“同じ色”にしかならない。長い歴史があっても、スーパースターはイチローしか出てきていないわけだから」
日本のアマチュア野球では、『やらせる野球』が蔓延していると言われて久しい。小島氏の発言を辿っていけば、早い段階で渡米した結城投手の決断は、「メジャーリーグのスーパースター」になる可能性を高めた決断ということになるのではないだろうか。
高校に行っていない選手の渡米は、良くも悪くも選手人生を大きく変えてしまう危険性をはらんでいる。だが、高校を経ずに渡米する覚悟を決め、メジャーリーグに挑戦した日本人選手など未だかつていない。イチロー以来の、「日本人スーパースター」の誕生へ大きな期待が膨らむのもまた事実である。
筆者は、結城投手の挑戦を称賛し、活躍を心から期待したいと思う。
文:栗崎 祐太朗
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