プレー復帰直後に気をつけること
ケガからの復帰に向けては、全身の体力レベルを落とさないことも大切
ケガには予防できるものと、予測不能で防ぎようのないアクシデントによるものとがあります。ケガをしてしまった場合、全体練習を休んでしばらく治療やリハビリテーションに専念し、状態が回復したところで競技復帰することになると思いますが、いくつか気をつけておきたいことがあります。
●ケガの部位以外の体力レベルは落ちていないか
ケガをしてしまうと患部は痛みなどがあるため動かさないようにしますが、患部以外の部分も患部と同様に運動しない状態が続いてしまうと、全体的な体力低下につながります。患部の状態がよくなってプレーを再開するときに、全体の体力が落ちていると、たとえばスタミナが不足して練習終盤にバテてしまったり、筋力が低下して他の部位を傷めてしまったり…といったことが起こります。こうしたことを防ぐためにはケガの部位以外は積極的に動かすようにしたり、体力レベルを落とさないように患部外トレーニングを続けておくことが大切です。
●ケガをしていないほうと比べて左右差は見られないか
ケガの状態が良くなってくるとすぐにでも競技復帰したくなる気持ちはわかりますが、傷めた組織が良くなっているかどうか、関節可動域(関節の動く範囲)や筋力は左右ともに同じような状態かをチェックしましょう。傷めた組織が回復しているかどうかは医師に確認してもらい、関節可動域や筋力については、できれば理学療法士、アスレティックトレーナーなどの専門家に判断を仰ぎましょう。むずかしい場合は患部とその反対側の部位が同じように動くか、特に筋力レベルが同程度かを確認します。多くの場合、筋力が低下しているにも関わらず競技復帰してしまい、痛みが再発したり、復帰直後で「また痛いと言えない」と我慢して再受傷してしまうケースが見られます。
●練習後のケアはしっかり行っているか
練習を再開すると患部は多少なりと痛みを伴うことがあります。このときにRICE処置を始めとした患部のケアを行っているかはとても重要なことです。競技復帰したから「RICE処置はしなくていい」「患部のトレーニングはしなくていい」ということにはなりません。もちろん痛みや不安感などがないようでしたら特に問題ありませんが、動いてみて少しでも不安が残る場合は、ケガの再発予防を目的としたセルフコンディショニングを継続して行うようにしましょう。
文:西村 典子
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