Interview

選抜連覇のPL学園を破るために取り組んだ練習の日々 MIZUNO 斎藤真一部長 (大阪・春日丘出身)VOL.1

2018.07.26

  2018年夏は平成最後の夏、そして第100回目の夏ということで、記念すべき1年ということになっているが、その中で最も注目を浴びているのが大阪桐蔭だ。この春、選抜連覇を達成。この夏の北大阪大会でも圧倒的な戦いを見せ、勝ち進んでいるが、大阪桐蔭と同じく選抜連覇を達成したのが、1981年、1982年に優勝したPL学園である。1982年、連続出場を狙ったPL学園は準々決勝で姿を消す。

 そのPL学園を破ったのが府立大阪春日丘だった。大阪春日丘はその勢いのまま甲子園に出場し、大きく話題となった。絶対王者・PL学園を破った大阪春日丘の当時のメンバーで、現在はミズノ株式会社のダイヤモンドスポーツ事業部の斎藤真一さんにインタビュー!当時の高校野球生活、PL学園戦の回想などを3篇にわたって紹介します。

高校野球を楽しく出来ればいいとだけ思っていた

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斎藤 真一部長

 ―― まず斎藤さんは大阪の公立の春日丘高校出身ということで、勉強と野球を両立したいという思いで入学されたんですか?

斎藤真一(以下:斎藤): 大阪には第二学区という校区がありましてね、当時、硬式野球部がある学校というのがひじょうに少なかったんです。一番校の茨木高校には到底入ることができなかったので、学力的にちょうど良く、野球部がある大阪春日丘に入りました。
 ただ僕は高校野球がやりたいと思って、甲子園というものは描いてなかったです。甲子園は当時圧倒的に強かったPL、浪商、北陽などしかに行けないという感じでしたので、高校野球を楽しくできればいいくらいにしか思っていませんでした。

 ―― 春日丘高校では、名指導者・神前俊彦先生と出会うわけですよね。

斎藤: 神前さん自身は学校の先生ではなく、全日空の社員でした。大阪春日丘から関西学院大に行って野球をやって全日空に入社して、会社員になってから母校の高校にちょくちょく手伝いに来てから、そのまま監督になったという感じだったようです。ちょうど僕が入部した時は監督に就任して2年目ぐらいの時ですね。

 ―― どんな指導をされた監督だったんですか?

斎藤: 非常に若く、熱血漢の監督で、監督がやたら口癖のように「甲子園に行く」と「甲子園に行ける」と言われてました。定時制があったので、練習時間は短かったですが、公立でも練習はそれなりに厳しくて、上下関係もしっかりしていて、楽しく野球が出来ればと思って入った自分としてはビックリしました。もっとのんびりと野球ができると思ったら、えらい違うなと。

 指導内容は公立高校として私学に勝つためにはどうしたらいいか、それを徹底する。練習はどちらかというと少数精鋭でやるような感じでした。

 ―― 強豪私学に勝つとなるとどういう練習をするんですか。例えば圧倒的に量が多いとかいう感じだったんですか?

斎藤: 平たく言えば、そんなにたくさんヒットを打てるわけではないので、要は1点を取るための手段を、いわゆる奇襲戦法というか、そういうのも含めて点の取り方みたいなものの工夫をしていました。バントやバスター、重盗などは、時間をかけて練習していました。
 練習試合が多くて、日曜日はずっと試合です。夏休み、春休みもほんとに試合ばっかりで、いろんなところに試合に行くんですけど、そこでいろんなプレーが出る。相手がやったプレーなんかもその後取り入れるみたいなこともやっていました。それを練習して自分たちのものにするみたいなことはやってましたね。

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[page_break:クジにも恵まれたのですが、春日丘はPL学園以外には負けていなかった ]

クジにも恵まれたのですが、春日丘はPL学園以外には負けていなかった

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インタビューに応える 斎藤真一部長

 ―― 斎藤さんはそういう小技をけっこう仕掛ける立場だったのでしょうか?

斎藤: そうですね。1年秋からサードのレギュラーをやらせていただきましたが、ずっと最初は2番バッターで、新しいチームになってからは1番バッターで、1番2番を打ってたので、そんな感じでしたね。

 ――当時非常に強かったPL学園は、ちょうど選抜を連覇した時ですよね。夏の前に公式戦をやったことはあるんですか?

斎藤:僕が1年生の秋の大会、選抜に繋がる大会ですよね、その大阪大会準決勝でPLに負けて、3位決定戦で勝って近畿大会に行くんですよ。そして近畿大会の初戦がPLやったんですよ。それで負けるんですよ。秋の近畿大会はコールド負けしたんですかね。
 それで今度、春の大阪大会は決勝でPLに当たって、負けるんです。それで夏の大会を迎えるんですけど、PLには勝ったことないんですけど、公式戦はPL以外には負けたことなかったです。秋の大会、近畿大会、それから春の大会、3回PLに負けただけでした。

 ―― PL学園以外に負けていないということは、力のあるメンバーがけっこう多かったということですか?

斎藤:当時、監督さんも、私学に行って通用するのは数人、みたいな事を言われていましたので、バッテリーの2人と、主力の先輩数名以外は普通の高校生だったと思います。ピッチャー、キャッチャーがすごい良かったです。基本ですよね。まずエースの田宮実さん。一つ上の先輩なんですけど田宮さんがエースで、その後早稲田大学に進学して、野手に転向。東京六大学野球リーグの最高打率(.519)をマークして首位打者(昭和62年春)を獲得しています。そんなに大きくないんですけどね、全身バネみたいな人で。コントロールと、キレと、あと変化球が凄かったです。
 キャッチャーは僕の同級生の大黒 (だいこく)。その二人を中心にしたチームだったと思います。やっぱり高校野球はバッテリーが大切ですよね。

 ―― 何回も対戦していると、やはり夏になると『打倒PL』という。

斎藤:『打倒PL』やったですね。その夏で、準々決勝でPLと対戦します。ただ僕は夏の大会の前日にケガしましてね。夏の予選は一切出ることができなかったんです。

 練習で外野ノックの最中に、後頭部にボールが当たりまして、それの後遺症で嘔吐とかすごくて、しばらくすると腰が曲がらない状態になって、そこから10日間ぐらいはそんな状態が続いて、結局大阪大会は全く出れずにベンチから応援しているだけでした。
 最初の3回戦、4回戦ぐらいまでは、頭は痛いし、座ってんのも辛いし、正直試合どころじゃないというのが半分ぐらいあって、ベンチで朦朧としてるというか、なんかそんな感じやったのは覚えてますね。
 ただ5回戦ぐらいからはだいぶ復活してきたんで、はっきりと意識がありましたし、5回戦勝って次の準々決勝の相手がPLっていうのが分かった時の雰囲気も覚えてるし、その準々決勝のPLの時の雰囲気もほんとによく覚えてますね。

 ―― 準々決勝でPLと当たった時は、やはりチームは盛り上がったんですか?

斎藤: 盛り上がってましたね。「来たか!」みたいな、そんな感じやったですね。

 今回はここまで。第二弾となる次回は、打倒PLとの一戦を振り返りつつ、その後のことについて中心に話をしてもいました!次回もお楽しみに!

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文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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