試合レポート

花咲徳栄vs山村国際

2018.04.30

徐々にエンジン全開か、花咲徳栄貫禄のコールド勝ち

花咲徳栄vs山村国際 | 高校野球ドットコム
4点目のホームインする花咲徳栄

 昨年の夏、全国制覇を果たした花咲徳栄。その後の新チームで挑んだ秋季県大会も、一番新チームのスタートが遅かったにもかかわらず、しっかりと勝ち上がって優勝している。今、埼玉県内では間違いなく頭一つ抜け出した存在と言っていいであろう。
 この春の県大会も、初戦は川越東と1点差の試合となったものの、確実にギアを上げてきているという印象だ。

 花咲徳栄は、初回は二死一三塁を逃したものの、2回は6番倉持君の右越二塁打とバントと暴投でまず1点。3回も四球と3番韮澤君の中前打で一三塁として、野村佑希君はしっかりと右へ運んで犠飛とした。このあたりも、無理して安打にしていこうとしないで、「ここは、犠牲飛球で大丈夫だ」という感じで、しっかりとコースに逆らわない打撃だった。
 そして、花咲徳栄の素晴らしいのは、こうして試合をしていきながら2巡目、3巡目と進んでいく中で、それぞれがどう投手を攻略していくのかということを頭に入れていき、対応していかれるところである。
実は、つい先週、NHKの高校野球解説をしている大矢正成氏に会って、話をしたのだが、その際に「野球の感性をどう磨いていくのか、それが高いチームがやはり甲子園で勝てますね」ということを言っていた。「最近で、その感性の高さを感じたチームはどこですか」と尋ねたら即答で「去年の花咲徳栄ですね」と、返ってきた。

 この日の花咲徳栄を見ていたら、その言葉を見事に裏付けているのだなと思わせてくれた。
 ストレートのキレも、スライダーも決して悪くない山村国際の先発久武君に対して、2巡目まではやや打ちあぐねているのかなとも思われた花咲徳栄だったが、4回は二死二塁から9番田谷野君が右前タイムリーして返すと、1番に戻って橋本君は、2打席凡退していたのだがしっかりと対応を示して中前打。さらに杉本君も右前へはじき返して二走の田谷野君を迎え入れる。さらに一三塁で3番韮澤君もしっかりと右前打。この回たちまちさ4連打して3点を奪った。

 そして5回には大爆発。打者11人で橋本君の右越三塁打や韮澤君、野村君の連続二塁打などの7安打1四球で7点が入った。守っても、先発の中田君が5回を2安打1四球で0に抑えた。
 岩井隆監督も、「相手の失投ではなく、自分たちで狙い球をしっかりと決めて捉えていかれていたので、よかったのではないか」と、野球の感性の高さを評価していた。それでも、「埼玉県はいい投手が多いので、そんなに甘くありません。夏を見据えると、これからが本当の意味でスタートということになります。一度か2度、思い切り負荷をかけて、そこからもう一度作っていかなくてはいけない」と、大勝にも気を緩めることなく引き締めていた。

 ここまで昌平、伊奈学園総合に競り勝ってここまで来た山村国際だったが、花咲徳栄の前にねじ伏せられてしまったという印象ではある。とは言え、特に大きなミスがあったというワケではなく、自分たちの野球はしっかりとやっていかれていたとは言えるのではないだろうか。

 

(取材・写真=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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