早稲田実業vs東京実

野村大樹（早稲田実業）

　早稲田実vs東京実の好カードがいきなり実現。多摩市一本杉公園野球場は多くの人で埋まった。試合は、早稲田実業が序盤で決定づけた。東京実の先発は鈴木睦也。130キロ前半の速球、スラウイダーを武器にする好左腕だ。その投手に対し、早稲田実業打線は初回からとらえた。

　1回裏、早稲田実業は先頭の野田が四球で出塁。2番石井の犠打で一死二塁のチャンスで。3番野村大樹を迎えた。

「最近、調子が悪く、引っ張り傾向だったので、センター返しを心掛けました」と言葉通り、痛烈なセンター前ヒット。野村はこのヒットに手ごたえを感じて浮いた。
「ヒットを打った内容は良かったですね。僕は第1打席が結構苦手なんですけど、今回のセンター前ヒットは今までの中でもよかったと思います」と笑顔を見せた野村。チャンスを作った早稲田実業は齋藤　恵太（2年）の中前安打で1点を先制。さらに一死満塁から内野ゴロ、さらに満塁となって、押し出しで1点を追加し、いきなり3点を先行する。東京実としては鈴木が試合を作っていきたいところだったが、大誤算の立ち上がりとなってしまった。2回裏、先頭打者に四球を与えたところで、2番手に背番号1の大田泰が登板。しかし太田も勢いづいた早稲田実業打線を止めることができなかった。無死一、二塁から3番野村がライト線へ適時二塁打を放ち、1点を追加。無死二、三塁からバッテリーミスと4番斎藤の適時打、5番生沼の二塁打で、6対0とすると、その後、無死満塁から連続犠飛で、8対0と大きくリード。

　5回裏も連続押し出しで2点を入れ、5回コールド勝ちを収めた。野村は、4打数3安打。うちシングルヒットが2本と、長打力をガンガン見せていた下級生の時と比べると、つなぎのバッティングを意識している。
「4番斎藤が良い打者ですので、その斎藤につなげるバッティングができればと思い、あまり本塁打は狙っていません」
新チームからこのスタイルにしたところ、確実性はその分高まり、練習試合・公式戦を合わせて打率5割6分、ホームランは8本と実に打っている。また打線では1年生の生沼がけがから復帰。タイムリーを打つ活躍を見せたが、一次予選よりもだいぶ厚みを感じる打線だった。
次は関東一戦。「本当に強い相手」と野村が語るように、1回戦ではコールド勝ちしており、打線の破壊力は都内屈指。山場となる試合で、選手たちはどんなパフォーマンスを見せるのか、注目をしていきたい。

　敗れた東京実は、大田、鈴木。そして3番手で登板した平川聖也が最速135キロを計測と、130キロ超えの投手が3人いる。選手たちの能力は高いものがある。コールド負けという経験がどう変わっていくのか、注目だ。

（文＝河嶋 宗一）

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