松山聖陵vs小松
大けが乗り越えたスピードスター躍動で、松山聖陵24年ぶり決勝へ!
荷川取 秀明監督が掲げる「全員野球」を体現した松山聖陵の逆転勝ちであった。
守っては初回に暴投と5番・尾崎 立(2年・左翼手・168センチ70キロ・右投右打・新居浜ボーイズ出身)、6番・池田 鉄平(2年・遊撃手・171センチ66キロ・右投右打・西条リトルシニア出身)の連続適時打で3失点と苦しい立ち上がりから少しずつ状態を上げて0を積み重ね、最後は130キロ中盤のフォークを駆使して149球5安打7四死球5奪三振完投勝利を収めた土居 豪人(2年・190センチ80キロ・右投右打・宇和島市立城東中出身)を、守備陣も無失策で援護。
打っても愛媛小松の3投手から9安打9四死球で全発全員出塁。2対3で迎えた3回表には無死満塁から4番・平良 倭麻(2年・中堅手・右投右打・175センチ74キロ・名護市立名護中<沖縄>出身)が素直に中前に弾き返す2点打で逆転。7回表の5点目も二死から平良が四球、二盗、相手暴投で三塁に進み、5番・大城 優太(2年・左翼手・右投左打・174センチ67キロ・浦添市立港川中<沖縄>出身)が右中間二塁打で還すという「流れ」を理解した戦いが目についた。
その中で、あえてこの試合の「MVP」を選出するとしたならば……この「3番・二塁手」をあげたい。県大会から登録された富里 尚史(2年・右投左打・170センチ63キロ・那覇市立石嶺中<沖縄>出身)。3回表には無死一・二塁から初球を三塁線に転がすバント安打で逆転への足掛かりを作れば、5回表の次打席でも一塁手へのゴロで連携が乱れる間に内野安打を奪取。二盗も決めて愛媛小松の混乱を増幅させた。
二塁守備でも安定。さすが春季四国大会準優勝主力メンバーたる貫禄を見せた富里。だが、そんな彼がこの秋、県大会からの登録となったのは、夏の愛媛大会を前にしての左脚後十字靭帯断裂によるものである。
「この秋も復帰は難しい」と指揮官にため息をつかせた大けが。しかし、彼は優秀な医療・リハビリスタッフのサポートにも助けられ、驚異的に回復。しかも復帰前のスピードを失うことのないままグラウンドに戻ってきたのである。
「本当に富里の復帰は大きい」と荷川取監督。もし、西条と対戦する24年ぶりの決勝戦でも彼が躍動を続けるならば……。
「四国大会ベスト4=センバツ一般枠出場可能性4分の3」へ大きな1勝アドバンテージを得る松山聖陵大会初優勝は、大きく視野に入ることになるだろう。
(レポート=寺下 友徳)
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