Interview

筒香 嘉智選手(横浜DeNAベイスターズ)「正しいスイングこそ理想の打撃の近道だ」【前編】

2017.08.01

 日本球界を代表する筒香嘉智。昨年は25歳ながら、セ・リーグ二冠王に輝き、今年は第4回WBCに出場し、打率.320、3本塁打、8打点の好成績を収めた。そんな筒香の打撃について技術的な側面から迫った。

最も大切なことは正しいスイングでバットを振り抜くこと

筒香 嘉智選手(横浜DeNAベイスターズ)「正しいスイングこそ理想の打撃の近道だ」【前編】 | 高校野球ドットコム

筒香 嘉智選手(横浜DeNAベイスターズ)

 バッティングは始動からボールを捉えるインパクトまでの間に技術を要するさまざまなポイントがある。上半身ならバットを構える位置、バットの上下動の有無、あるいはバットの引きの大きさや振り出すときの位置と角度、下半身なら始動のときの足を動かすタイミング(右打者は左足)やどのタイミングでステップするのか、あるいはステップはゆっくり出すのか速く出すのか、インステップかアウトステップか……等々、そして総合的にはボールを捉えるポジションが投手寄りか捕手寄りか、というのも重要ポイントだ。

 こういうさまざまな動きを簡単に表現すれば、「反動を抑えた小さな動きで強くボールを捉える」ということになる。私が考える理想のバッティングに最も近いのが筒香嘉智(横浜DeNA)である。プロに入って急に理想的なバッティングをするようになったわけではない。横浜高校時代からバッティングの完成度は極めて高かった。

 3年生になる直前、雑誌の取材で話を聞いたとき、反動を使わないバッティングはいつからしているのか聞くと、「昔から反動をつける打ち方はしていないです」と言う。さらに、「昔」とはいつのことか聞くと、「中学生になって本格的に野手になってからですね」と答えた。

上半身のパワーだけで打つ力自慢なら「嘘つけ」と思ったかもしれないが、それより3カ月前の08年夏の甲子園大会で筒香はパワーだけでなく緩急対応型のバッティングで大会通算3本塁打、14打点、打率.526と打ちまくり、準々決勝の聖光学院戦では今もって大会記録として残る1試合8打点を記録しているのである。正直、意識の高さに驚かされた。

[page_break:コンパクトなスイングでも強い打球を飛ばせる理由]

コンパクトなスイングでも強い打球を飛ばせる理由

筒香 嘉智選手(横浜DeNAベイスターズ)「正しいスイングこそ理想の打撃の近道だ」【前編】 | 高校野球ドットコム

筒香 嘉智選手(横浜DeNAベイスターズ)

 09年のドラフトで横浜(現DeNA)の単独1位指名を受けてプロ入り、昨年は7年目にして44本塁打、111打点を挙げ初タイトルに輝き、ベストナインにも2年連続で選出され、準決勝進出のWBC(ワールドベースボールクラシック)では侍ジャパンの4番としてスタメンで起用され、本塁打3、打点8、打率.364というみごとな成績を残している。

 この国際大会の話から聞こうと、「WBCの使用球は日本のボールと比べると大きくて、遠くに飛ばすのは大変だと思うんですけど、それは想定してキャンプからやられていたわけですよね」と聞くと、「想定というよりは、僕は国際大会どうこうよりベイスターズでも反対方向に打つのをきっちりやってきたので、それで国際大会では苦にならなかったというのはあります」といきなり本題に入ってきた。

 私が一番聞きたかったのは、反動を抑えたコンパクトな打ち方でどうしたら強い打球を飛ばせるか、ということ。それに対しては次のようなやりとりになった。

筒香 嘉智選手(以下、筒香):それはもう自分でやり込むだけじゃないですか。

――振り込むということ?

筒香:はい。そういう正しい練習をすることです。

――正しいスイングで理想とするスイングでバットを振ると?

筒香:そうですね。僕の感覚で言うと、正しいスイングを繰り返すことが大事ですね。悪いスイングをするとそれがずっと残るので、正しいスイングをやり続けるということが大事ですね。

 後編ではその正しいスイング、バッティングに迫っていきます。

(インタビュー/文・小関 順二

筒香 嘉智選手(横浜DeNAベイスターズ)「正しいスイングこそ理想の打撃の近道だ」【前編】 | 高校野球ドットコム
注目記事
今年も全国各校の熱い想いを紹介!「僕らの熱い夏2017」

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.15

西東京大会は激戦ブロックが続出!昨夏甲子園出場の日大三は国士舘と同ブロック!【2024年夏の甲子園】

2024.06.15

東東京の横綱に上り詰めた帝京、関東一の軌跡~前田三夫と小倉全由、2人の名将~【東西東京大会50周年物語③】

2024.06.15

【福島】日大東北がサヨナラ勝ち、帝京安積はコールド勝ちで4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.15

“超不人気”だった東京の高校野球を「3つの出来事」が変えた! 東京ローカルチーム・桜美林の全国制覇、都立高の甲子園出場、そして……【東西東京大会50周年物語②】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得