試合レポート

大手前高松vs四学大香川西

2017.07.21

四国学院大香川西、完全燃焼の夏終わる

 まずチームスローガンに「奪進塁」を掲げる大手前高松について。二死無走者から四球・安打・2四球で同点に追いつき、最後は7番・久保 洸真(3年・捕手・175センチ67キロ・右投右打・高松市立紫雲中)が初球を叩いて三遊間サヨナラ打を放った最終回もさることながら、この試合では序盤3回の得点奪取過程に「らしさ」を感じた。

 初回は秋山 翔吾(埼玉西武ライオンズ)と同じ「1番・中堅手」の秋山 祐成(3年・167センチ65キロ・右投左打・高松市立玉藻中出身)が一塁線を破る二塁打を放つと、投ゴロ・遊ゴロで生還。2回裏は一死満塁から9番・十河 穂岳(3年・168センチ68キロ・右投右打・高松市立桜町中出身)が左前2点適時打を放つと抜け目なく本塁送球間に二塁へ。捕手の悪送球を誘ってさらに1点を加える。

 さらに3回は一死一、三塁から6番・木村 悠斗(3年・三塁手・171センチ67キロ・右投左打・高松市立太田中出身)が再び遊ゴロを打って1点。グラウンドが硬い[stadium]レクザムスタジアム[/stadium]の特性を理解した上で、高いバウンドの内野ゴロを打つ意識や、相手のスキを生み出す走塁でたちまち5点を奪ってみせた。

 だからこそ、完全な大手前高松ペースを覆した四国学院大香川西の健闘は絶賛に値する。4回に高校通算14本塁打の4番・山田 倫(3年・一塁手・170センチ74キロ・左投左打・高松ボーイズ出身)の中前打、二盗を契機に6番・池上 昇耀(3年・二塁手・170センチ67キロ・右投右打・高槻市立城南中<大阪>卒)、9番・小川 剛宙(3年・右翼手・178センチ66キロ・右投左打・福山市立大成館中<広島>卒)、高校通算17本塁打の1番主将・鈴木 涼太郎(3年・遊撃手・174センチ70キロ・右投右打・枚方リトルシニア<大阪>出身)が適時打を放って反撃に転じると、8回表には小川の適時打で4対5。

 さらに9回表は一死一、三塁から5番・有田 諒嘉(3年・中堅手・181センチ69キロ・右投左打・枚方リトルシニア<大阪>出身)の二塁内野安打でついに同点とすると、一死満塁から7番・松村 善輝(3年・捕手・177センチ70キロ・右投右打・三木町立三木中出身)の浅い左飛を三塁コーチャー・西原 廉能(3年・外野手・164センチ63キロ・新居浜リトルシニア<愛媛>出身)がよく突っ込ませ勝ち越し。

 投手陣も2回裏一死から2番手で登板し3回3分の2を失点1・自責点0の上野 圭太(3年・181センチ77キロ・左投左打・大阪八尾ボーイズ<大阪>出身)や、最後はサヨナラ打を打たれたが、最速135キロのストレートを力強く投げ込み一時逆転への流れを確実なものとした前野 滉太(3年・178センチ72キロ・右投右打・京都ベースボールクラブ<ヤングリーグ・京都>出身)も印象深い活躍をした。

 ちなみに四国学院大香川西の3年生は岩上 昌由:元監督(現:神戸学院大附属<兵庫>監督)が築き上げた「蒼き炎」を、室伏 昌英監督、元:東北楽天ゴールデンイーグルスコーチの中尾 明生ヘッドコーチらの下で「えんじの集団」に変えるべく、下級生時代から試合出場を重ねた代。言い換えれば「創生の代」とも呼べる。

 そういった激動の中にあっても最後の夏に完成度の高いチームを創り上げ、「完全燃焼の夏」を終えた四国学院大香川西硬式野球部。試合終了後にはひたすら涙に暮れた選手たちだったが、この2年半を走り抜いたことは今後、生きていくうえで必ず自信になるはず。そして3年生たちはこの試合に恥じない人生をぜひ、今後過ごしてほしい。

 
 そんな四国学院大香川西の想いも背負った大手前高松。7月22日(土)10時より[stadium]レクザムスタジアム[/stadium]において、第1シード・三本松と戦う準決勝でも彼らは持ち味に気迫をプラスして闘う。

(レポート=寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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