試合レポート

丸亀城西vs早稲田実業

2017.06.19

脚光浴びた香川県高校野球、自信を糧に夏甲子園での「2勝目」へ

丸亀城西vs早稲田実業 | 高校野球ドットコム
5打数4安打6打点2盗塁の活躍を見せた水野 達稀(丸亀城西)

「何はともあれ、無事に終わったこと。そして勝てたことはよかったです」。

 4回裏に「相手投手がクイックで来ることを利用した」高校通算102号、6回裏にも「打てる予感があった」103号2ランを放った早稲田実業清宮 幸太郎(3年主将・一塁手・右投左打・184センチ101キロ・調布リトルシニア出身)の大アーチから2時間。静寂が戻った夕方のレクザムスタジアムで小野 裕作・香川県高等学校野球連盟理事長はほっと胸をなでおろしていた。この4試合を終えて香川県勢は早稲田実に3勝1敗。最後の丸亀城西も乱戦を制し、8年目にしてはじめて勝ち越しで終えたからである。そして、この勝ち越しは香川県高校野球にとっても大きな前進となった。

 昨年、高松商のセンバツ準優勝が印象深い香川県高校野球だが、実は2003年以降で夏の甲子園で勝利の校歌を歌ったのは2006年の香川西(現:四国学院大香川西)と2011年の英明による1度ずつのみ。県民に活力を与える存在でもある高校野球の不振を受け、近年、香川県高等学校野球連盟の様々な部分でテコ入れをしてきた。

 2010年にスタートした同大会では興南(沖縄)にはじまり、報徳学園(兵庫)、智辯和歌山(和歌山)、聖光学院(福島)、龍谷大平安(京都)、履正社(大阪)、大阪桐蔭(大阪)。そして今回の早稲田実業(西東京)と甲子園強豪校を軒並み招待。すでに来年度はミレニアム世代の逸材を多数擁する大阪桐蔭(大阪)の再招待が決まっている。

 さらに今年11月18日(土)・19日(日)の両日には健大高崎(群馬)を対戦相手に四国コカ・コーラボトリングスタジアム丸亀とレクザムスタジアムを使用し、指導者講習会も兼ねた新たなスタイルの招待試合開催も決定済。指導者講習会でも中村 紀洋氏(現:浜松開誠館<静岡>コーチ)の招へいなど固定概念を一切排した施策を導入している。

 結果、例年以上に注目が集まった今年の招待試合では勝利にこだわりつつ、いい意味での「アピール合戦」が見られ、数多くの選手が全国に脚光を浴びることになった。英明では豪快なバックスクリーン弾を叩き込んだ藤井 拓海(3年・投手)、坂出では完封の右腕・西山 諒祐(3年)、それに続いた三本松佐藤 圭悟(3年)。彼らの今後を考えた上でも、全国へのアピールを果たせた効果は計り知れない。

 そしてこの丸亀城西戦では3番・水野 達稀(2年・遊撃手・右投左打・169センチ68キロ・丸亀市立南中出身)が「上林 誠知さん(仙台育英~福岡ソフトバンクホークス)のような広角に打てる打者を目指している」を体現し高校通算13本目となる2ラン含む5打数4安打6打点2盗塁の大暴れ。8回表の攻撃前に「もう1回締めていけよ」と河本 浩二監督が飛ばした檄にすぐに反応、一挙6点を奪った強打線の中心として、さらに新チーム以降でも大きな期待が持てる躍動は、100回大会での県中心選手に名乗りを上げる大アピールともなった。

 かくして、この招待試合を通じて様々な方面から自信と収穫を香川県高校野球。まずは2002年・尽誠学園以来となる「夏の甲子園2勝目」をつかむために。7月9日開幕の香川大会までに加盟38校はさらなる研鑽を積みつつ、全国で勝つための心技体を高めていく。

(取材・写真=寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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