試合レポート

日大三vs専大松戸

2017.05.22

櫻井周斗、試合を決定づけるバックスクリーン弾

日大三vs専大松戸 | 高校野球ドットコム
ホームランを打った櫻井周斗(日大三)

日大三vs専大松戸の一戦は大荒れの試合展開となった。専大松戸の先発・濱名竜之介が、8球で降板。肘を痛めてしまったようで、この春はエース・川上鳳之とともに活躍を見せてきただけに、痛い離脱である。そして代わりに登った川上は、「いきなりで、緊張してしまったけど、なんとか試合に入ることができた」と話すように後続の打者を140キロ台(最速145キロ)のストレート、125キロ前後のスライダーのコンビネーションで後続を抑える。

 2回表、8番津原瑠斗の適時打で日大三が先制。だが、日大三櫻井周斗もピリッとしない投球。立ち上がり、常時140キロ・最速143キロのストレート、125キロ前後の縦スライダーのコンビネーションで無失点に打ち取ったピッチングはこの日の好投を期待させるものがあったが、2回裏、初安打を打たれてから、一死一、三塁のピンチを招き、8番川上に同点スクイズを許すと、その後、暴投、昆野海翔の適時打で1対3と逆転。

 これで乗っていきたい専大松戸だったが、3回表、川上がリズムを崩し、7番大塚晃平の適時二塁打で同点にすると、8番津原の適時打で逆転。さらに打者11人の攻めで、一挙8得点。9対3と大きく点差を広げた。

 これで日大三が試合の主導権を握ったかのように見えたが、3回裏には5番浅尾の適時打と挟殺プレーの間に2点を返し、4回裏には4番今里の2点適時打で、9対7と一気に2点差まで迫られる。

 どちらも守備のミス、また四球が絡んでの得点が多く、専大松戸の持丸監督は「どうも試合の流れが公式戦のような緊張感がなく、練習試合のような感じの緩さがあったよね。そういうところがお互いミスを生んだかもしれないよね」と表現するように、これまでの2試合と比べると、緊張感が解けた試合に見えたが、専大松戸が追い上げたことで、中盤以降は一気に引き締まる試合展開となった。7回裏、専大松戸が一死一塁の場面で、日大三の二遊間が鮮やかな併殺を決めたが、これはしっかりと集中した上ではないと実現できないプレーだった。

 8回表、先頭の櫻井が川上のストレートを打ってバックスクリーン弾。川上は「初めてバックスクリーンにもっていかれました。レベルが高い打者はこんな打撃もできるんだ」と櫻井の本塁打に目を丸くした。

 結果的にこの一発は非常に大きかった。その裏、専大松戸は2番昆野の適時打で10対9と1点差に迫り、9回裏も二死一、二塁と同点のチャンス。ハラハラするような試合の流れとなった。しかし最後は日大三の2番手・柿澤が9番石川をストレートで空振り三振に打ち取り、試合終了。もし櫻井の一発がなければ、同点。もしかしたら勢いに乗って逆転されていた可能性もあっただけに、大きな一発となった。日大三が準々決勝進出を決めた。

 日大三岡部仁が負傷でベンチ外となっているだけに、柿澤が好投を見せたことは、夏へ向けて収穫が残る内容となった。

 専大松戸も、一時、6点差を広げられながらも1点差まで迫った粘り強さを見せた。千葉県にはなかなかいない140キロ台の投手と対戦したことも夏につながる内容だったといえるだろう。

 課題は投手育成。濱名の夏復帰が不透明な状況だけに、短期間の間に投手を育成できるかにかかっているだろう。

(取材・写真=河嶋宗一

日大三vs専大松戸 | 高校野球ドットコム
注目記事
2017年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

【秋田】秋田修英と秋田工が8強入り、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?