試合レポート

久米田vs泉陽

2017.04.23

7ヶ月ぶりの再戦

久米田vs泉陽 | 高校野球ドットコム
好投を見せた水光 葵(久米田)

 昨秋のスコアは9対1。ちょうど7ヶ月後の再戦となった久米田泉陽の試合は、再び久米田が大差で勝利した。
 久米田は初回、押し出しにより1点を先制。2回には二死から安打で出塁した1番・坂口一生(3年)が盗塁を決め、2番・川本晃宏(3年)の適時打で生還を果たし効率よくリードを広げた。

 序盤で2点を失った泉陽だが、3回の攻撃で相手守備の乱れもあり無死一、二塁のチャンスを作る。しかし、バントの構えを見せる1番・米津諒(3年)が高めのボール球を見送った際、二走の後藤大和(3年)が飛び出してしまい二、三塁間に挟まれタッチアウト。その間に一塁走者・合川和希(3年)は二塁に進みチャンスは続いたが後続が倒れ無得点。

 泉陽の古川晃監督は最終的には大きく点差の開く試合で、この場面を何よりの反省点に挙げていた。「もうちょっとやれると思ってました。ここというところでミスが出る。あそこで1点でも取っておけば。そういう流れを読み切れないですね。飛び出して流れ手放したのが全てやと思います」

 絶好の同点機を逃すと、直後の4回に1回途中からマウンドに上がっている後藤が3失点。先発した谷口和真(3年)は緩いスライダーでカウントを稼ぎ、ボール球を振らせて凡打に打ち取るスタイルを得意とし、秋には河南から白星を挙げている。その実績を買って古川監督は先発に抜擢したが、早々にリリーフを仰ぎ、柱不在の投手陣の中で最も調子の良かった後藤がつかまるともう試合を立て直せない。

 後藤は5回に適時三塁打と押し出しでさらに2点を失い、サードを守っていた平山晃大(2年)がマウンドへ。二死満塁のピンチは凌いだものの、イニングを跨いだ6回に打者一巡の猛攻を浴び大量6失点。

 対照的に久米田の先発・水光葵(3年)は終始安定した投球を続けていた。初回を三者凡退に抑えると、得点圏に走者を背負った2回と3回も無失点で切り抜け、4回以降許した走者は四球による1人だけ。スライダーを得意とし球に力のある左腕、泉陽打線は昨秋にその球筋を打席で見ているはずだが最後まで寄せ付けなかった。

 攻撃で目立ったのは機動力。出塁すれば足が売りの1番・坂口、2番・川本晃はもちろんのこと、3回には先発の水光も盗塁を決めている。6回には無死一塁から6番・川本恭宏(3年)の打席で仕掛けたエンドランが一塁線を破る適時三塁打となり、大量点のきっかけになった。この日の仕掛けは選手の判断ではなく、全てサインによるもの。

「どことやってもそこそこ点は取れる」福島悟監督は打線に自信を持つ一方、積極的に試合を動かした。走って、振らせて2桁安打を放ち13点。ただ実はこれでもベストメンバーではない。本来4番を打つ水上大輝(3年)が疲労を考慮され、大事を取って欠場。主砲不在で試合に臨んでいた。

「秋の16強より上に行きたいので次をクリアしたい。チームとしていい感じで来ているので4番が出てくれれば勝負出来ると思います」福島監督が見据える次戦の相手は関大一。初戦では昨秋ベスト4の初芝立命館を破っている。泉陽に対しては、秋に8点差をつけての7回コールドゲームが、春は13点差をつけての6回コールドに。冬の成果を1つ示した。強豪私学との一戦は、現在の実力を試す絶好の機会だ。

(文・写真=小中 翔太

久米田vs泉陽 | 高校野球ドットコム
注目記事
2017年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.13

圧倒的馬力! 鹿児島実の151キロ右腕・井上 剣也の実力を徹底分析!ライバル・神村学園を翻弄する投球術を身に付けられるか?<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.06.13

戦国千葉の組み合わせが決定!専大松戸のブロックに八千代松陰、市立柏ブロックに木更津総合、流通経済大柏と激戦ブロックが続出!【2024夏の甲子園】

2024.06.14

慶應&大阪桐蔭が四国の5チームに伝えた「全国で勝つための方法」とは!? 香川・徳島招待試合がもたらした財産

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.11

【北海道】旭川支部の抽選会は12日!旭川実、旭川志峯など強豪の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに