試合レポート

山村学園vs富士見

2017.04.18

トミージョン手術から復活した142キロ右腕・矢口皓太(山村学園)!

山村学園vs富士見 | 高校野球ドットコム
最速142キロを計測した矢口晧太

 パワーアップを遂げての復活だ。

 山村学園の先発は矢口皓太(3年・174センチ74キロ・右投げ右打ち)。背番号10をつけた矢口だが、1球目から驚くような速球を投げ込む。なんといきなり140キロを計測。その後も、常時135キロ~140キロ前後を計測し、初回は最速142キロを5球を計測。速球能力は本物だといえるだろう。フォームも、体全体を使っていて、力強い。左足を高く上げてから、真っすぐ踏み出していき、左腕のグラブを高々と掲げてから、真っ向から振り下ろす姿は躍動感を感じさせる。身のこなしを見ていても軽快で、地肩の強さ、背筋力の強さを実感させる選手だ。

 その矢口、実は1年冬にトミージョン手術を受けていた投手だった。投球練習中、右ひじが断裂。1年間、投げられない時期が続いたが、それでも矢口は地道なリハビリ、トレーニングを経て復帰したのであった。ストレートにはこだわりがあると話す通り、140キロ台の速球を連発した矢口だが、制球力に課題を抱えており、1回表、一死満塁のピンチを招き、内野ゴロの間に1点を先制される。

 だが山村学園は、1回裏、二死二塁から敵失ですぐに同点に追いつく。2回表、埼玉富士見が矢口を攻め立て、一死二、三塁から内野ゴロの間に1点で勝ち越しに成功した。

 1点を追う山村学園は、2回裏に一死一、三塁から内野ゴロの間に1点を勝ち越すと、3回裏にはスクイズで勝ち越しに成功。4回裏には、1番野邨の適時打、5回裏には木内の適時打、6回裏には、適時打。7回裏には寺嶋の2点適時打、2番大室の適時打と、7イニング連続で点を記録した。この攻撃について主将の金子は、「今年は去年のような一発長打が打てる選手がいないので、犠打、盗塁を絡めて、もぎ取っていくスタイルになると思います」と話すようにこの試合では5犠打を決めたがノーミスで走者を進めた。ただ一冬でしっかりと体を作ってきたように、各選手、打球が鋭い。しっかりと打力面も鍛えられている。

 矢口は回を追うごとに安定し、7回を投げて、被安打3、3奪三振、3失点。課題は6四球を記録した制球力。矢口は「ストレートは好調時ほどではなかったですし、制球力については、この春から公式戦初登板でしたので、緊張でうまく投げられなかったかもしれません。ただだんだん慣れてきたので制球力は高めていけるかなと思います」とコメント。コンスタントに140キロ台を計測する投手はそうはいない。一躍、県内トップクラスの速球投手としてアピールを見せた。

 山村学園は計5投手の継投リレーで埼玉富士見を破り、県大会出場を決めた。相手の埼玉富士見は、常にベンチが盛り上がり、全力プレーを徹する好チーム。打線も上位打線を中心に振れる打者がおり、活気があった。そういう相手を破って県大会出場を決めたのは、山村学園にとって、収穫が残る試合だっただろう。

 怪我から復活した矢口を揃え、一段と戦力が増した山村学園。昨年のベスト4超えを目指して、26日開幕の県大会に臨んでいく。

(取材・写真=河嶋宗一

山村学園vs富士見 | 高校野球ドットコム
注目記事
2017年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.11

【2024年最新版 スーパー中学生リスト】 関東地区の強豪校注目の遊撃手、高校スカウト殺到の大型左腕、中村剛也の長男など38人をピックアップ

2024.05.11

名門・東海大相模の進路紹介!プロ注目打者は東洋大、エースは中央大で早くもリーグ戦に出場!

2024.05.11

【新潟】プロ注目右腕の帝京長岡・茨木が完封、日本文理とともに決勝進出<春季県大会>

2024.05.11

シニア日本代表が発表!選抜大会準優勝の主力打者、ベスト4の主将、優秀選手などが選出!

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.06

【関東】山梨学院と常総学院がそれぞれ優勝、出場校の対戦が確定<春季大会>

2024.05.06

【春季埼玉県大会】花咲徳栄4回に一挙10得点!20得点を奪った花咲徳栄が昌平を破り優勝!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>