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予選敗退組の中にも剛腕がゴロリ!甲子園に届かなかったヒーロー特集

2016.07.30

 この夏、甲子園出場に期待がかかった逸材が多くいたものの、甲子園出場を逃した剛腕投手が多くいる。そんな剛腕投手たちの夏を追った。

防御率0.00の島孝明(東海大市原望洋)

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島孝明(東海大市原望洋)

 最速153キロ右腕の島 孝明東海大市原望洋)。千葉大会準々決勝で敗退したが、自責点0。実力はいかんなく発揮したといっていいだろう。

 初登場となった4回戦の日大習志野戦(試合レポート)で、最速146キロを計測したストレートとキレ味抜群のスライダーを武器に5回9奪三振の快投。

 5回戦の流通経済大柏戦では1回リリーフで無失点。さらに準々決勝の木更津総合戦(試合レポート)では、7回途中から登板。2.2回を投げて無失点。この試合の島は、147キロ~149キロを連発し、9回表に最速150キロ。さらには135キロ前後のスライダーと高校生レベルを超える投球を披露。

 8.2回を投げて無失点だったが、こういう負け方も異例ともいえる。準々決勝で対戦したのが難攻不落の木更津総合のエース・早川 隆久だったことが大きい。

 ここまで全ての試合をコールド勝ちしていた東海大市原望洋打線を完封してしまうのだから、相手が悪かったとしかいいようだがない。だが、夏で期待通りの投球を見せた島の評価はさらに上がっているはずだ。

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当時の島より平均球速が上な梅野 雄吾(九産大九産)

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梅野 雄吾(九産大九産)

 今年の九州は剛腕揃いだった。この夏、島と同じく150キロを計測したのが、梅野雄吾九産大九産)だ。
 昨秋の時点で151キロを投げていた梅野。そしてこの春まで154キロまでスピードアップしたが、大会前に体調を崩し、スロー調整が続いていた。

 しかし、夏には復活。初戦の浮羽究真館戦では8回を投げて9奪三振の快投を見せ、最速は150キロを計測した。
だが3回戦の福岡福島戦で、わずか打者1人だけ投げて、梅野の夏が終わった。本人にとって早すぎる夏の終わりだったかもしれない。
 梅野は身長が175センチとそれほど上背がある投手ではない。高校生右腕で上背がない投手は あまり高く評価はされないのだが、それでもスカウトの評価は高い。ぜひ次のステージへ向けてしっかりと準備をしていきたい。

 他にも、九州地区では、最速146キロ右腕・濱地 真澄福岡大大濠)、山本 由伸都城)、太田 龍れいめい)と評判が高かった剛腕が、それぞれ敗れていった。

 濱地は最速145キロまで計測したものの、福岡第一に打ち込まれ、山本は大会初戦では、最速147キロのストレートと、130キロを超えるフォークを武器に強豪・延岡学園打線を抑えたが、3回戦の宮崎商戦では、最速148キロを計時したものの打ち込まれ最後の夏を終えている。

 れいめいの太田は、2回戦の尚志館戦で、最速149キロを計測するなど、1失点完投勝利。

 計4試合を投げて、25.2回を投げて、6失点と安定したピッチングを見せたが、チームは準々決勝敗退。1人の好投手を擁しても、なかなか勝てないのが高校野球の難しさだ。

⇒次のページ:154キロ左腕・古谷、東海大相模の北村なども剛球をしっかりとアピール!

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154キロ左腕・古谷、東海大相模の北村なども剛球をしっかりとアピール!

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北村 朋也(東海大相模)

 北海道の154キロ左腕・古谷 優人江陵)も準決勝で敗れ去った。今大会は46回を投げて、60奪三振。旭川西戦で最速154キロを二度計測し、さらに準々決勝では20奪三振を挙げるなど、快投を見せたが、準決勝で力を尽きた。

 今年は剛腕左腕が多いが、150キロを出せるのは彼だけだ。それまで全道大会出場がなかったチームを準決勝まで導いた実力は評価されている。

 また、東北一の速球派右腕・種市 篤暉八戸工大一)は、夏でも最速145キロを計測するなど、力のある投球を見せたが、準々決勝敗退。調子が完全に仕上がる前に敗れてしまったように感じる。不完全燃焼に終わったが、ぜひこの悔しさを次のステージで晴らしていってほしい。

 また最速150キロを計測した小郷 賢人(関西)、140キロ後半の速球とキレ味鋭いスライダー、フォークを投げ込んだ大型右腕・北村 朋也東海大相模)は3年間で最も良い投球を見せ、さらに角度ある140キロ台の直球とカーブ、フォークで躍動した長井良太つくば秀英)も将来に期待を持たせる投球を見せた。

 地方大会で敗れた剛腕たちの夏を振り返ると、しっかりと実力を発揮しているのが分かる。これほどの投手がいても甲子園にいけない。改めて地方大会を勝つ難しさを実感するが、ぜひ次のステージでその恵まれた素質を開花させることを願いたい。

■紹介した4選手の選手名鑑をチェックしよう!!
島 孝明
梅野 雄吾
太田 龍
北村 朋也

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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