もう知ってる?ケガをしたときに行うアイシングのメリットとデメリット
アイシングのメリット・デメリット
アイシングのメリット・デメリットを理解し、状況に応じて使い分けよう
ケガをしたとき、氷を使ってアイシングしたことのある選手も多いことでしょう。ケガをした直後の急性期(受傷後~およそ72時間)は痛み、腫れ、内出血や熱感などの炎症症状をがみられるため、アイシングを行ってこれらの炎症症状を抑えるようにします。一番わかりやすいケガの症状は痛みですが、アイシングには痛覚の閾値(いきち:限界値)を低下させ、痛みを軽減させる効果も期待できます。
他にもアイシングのメリットとしては、他の傷んでいない組織がケガの影響を受けないようにすることがあげられます。炎症症状をそのままにしておくと、ケガをした部位だけではなく周辺組織にまで炎症が広がってしまい、回復するまでにより長い時間がかかってしまいます。炎症を局部にとどめ、これ以上広げないことは、早期競技復帰のためにも必要不可欠なコンディショニングであるといえるでしょう。
氷で冷やす時間は受傷した部位によって変わりますが、太ももなどの大きな筋肉などは20~30分程度、肩は痛みの程度によって15~20分程度、肘は比較的小さな関節で神経も近くをとおっているため、10~15分程度を目安に行います。氷をあてるとまず「冷たい」という感覚があり、その後だんだんと冷たさを感じなくなりますので、痛みや冷たさを感じなくなってから5分程度を目安に一度氷を外すようにしましょう。長時間にわたって氷で冷やし続けると皮膚が傷んだり、凍傷を引き起こしたりすることがあるので、アイシングをしている間はしっかりと時間管理を行うようにしましょう。
一方でアイシングには当然デメリットも考えられます。その一つは「冷やした部位の動きが悪くなってしまう」ことです。関節や筋肉、神経などはアイシングによる影響を受け、動きが悪くなってしまったり、感覚が鈍くなってしまったりといったことが起こります。そしてもう一つは「アイシングはケガの修復速度を遅らせる」ということ。
アイシングは患部の炎症を抑えますが、同時にケガなどからの回復に必要な血流も減少させてしまいます。炎症症状が軽快したところから、患部を動かして血流をよくし、温めるようにするのはこのためです。ただし腫れがひどい場合や熱感、痛みが強い場合は温めると悪化してしまうこともあるので、専門家の判断を仰ぐようにしましょう。
文:西村 典子
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