試合レポート

創成館vs天理

2015.08.09

創成館が好守備と左腕2人の巧みな投球術で天理を破る

 8月9日、長崎県にとっては歴史的な1日だが、ここ甲子園の舞台で、新たな歴史を刻んだ創成館
 初出場とは思えないぐらい緊張感のある好守備で天理を破った。試合を振り返ると、両チームの先発が好投。創成館は先発・藤崎 紹光(3年)は技巧派の左サイド。左打者の内角、右打者の外角へ鋭く投げ込むため、左投手としては珍しい三塁側に立って投げ込む投手である。120キロ~125キロ前後の速球は右打者の外角、左打者の内角にしっかりと投げ分けができており、右打者の内角にも投げることができており、想像以上に打ち難い。またスライダー、シュートも低めに集まっており、天理は強打ができない。フルスイングをさせないところで、創成館の藤崎は自分の持ち味を発揮したといっても過言ではないだろう。

 4回表、一死一、二塁から6番川崎 浩大(3年)がインコースのストレート煮詰りながらも左前適時打を放ち、1点を先制すると、さらに一死満塁となって、8番神野 太樹(1年)の内野ゴロの間に2点目を取る。創成館とすれば、それほどダメージが少ない失点だろう。彼らの表情を見るとあまり気に留める様子はなかった。そして9番堤田 礼雄(3年)を三ゴロに打ち取り、まだいけるという流れになる。
 創成館天理の先発・冨木 崚雅(3年)に苦しんでいた。冨木は独特のテークバックで、さらになかなか力感がないように見えるので、あまりボールは速くないのかなと思いきや、常時135キロ~142キロと中々の速度があり、さらにスライダー、130キロ台を記録するツーシームを内角に投げ分け、想像以上に打ち難く、なかなかの実戦派右腕であった。


関連記事
・第97回全国高等学校野球選手権大会特設ページ
・夏よりも熱い!全国の野球部に迫った人気企画 「僕らの熱い夏2015」

第97回全国高等学校野球選手権大会

 奈良大会で見た時は球速を測れる位置で座ることができず、力のあるボールを投げていると感じていたが、力感がないフォームから140キロ台をたたき出すポテンシャル。打者としても5番を打つほどの長打力を秘めているが、投手・富木としてプッシュしたくなるものがあった。

 攻略が難しい投手だと思っていたが、4回裏、6番宇土 憲伸郎(2年)に右前安打を放ち、7番中島 崇(3年)が左中間を破る二塁打を放ち、無死二、三塁のチャンスを作ると、8番中島 巧喜(3年)のニゴロで1点を返すと、二死三塁から鳥飼 立樹(3年)が適時二塁打で同点に追いつく。

 ここから両チームの投手、守備陣の好守備で、3点目を挙げることができず、試合は9回裏に。9回裏、1番鳥飼が三塁への内野安打で出塁すると、犠打と3番峯 周汰(3年)の中飛で鳥飼は三塁へ進むと、打席に立ったのは4番鷲崎淳(3年)。ここまで無安打だが、打席に立った時の雰囲気がある強打者である。長崎大会で2本塁打を打った鷲崎。自慢の強打を見せるのははここしかない。

 そして鷲崎は冨木の直球を強振。打球は右前安打となり、サヨナラ安打で初出場初勝利を決めた。実に鋭いスイングであった。創成館は天理を十分に破るだけの実力はあった。先発の野崎、2番手の水永 悠斗と独特のフォーム、コーナーを突く投球で、天理打線を抑え、また内外野の堅い守備も光った。実に高いレベルを示してくれた。

 創成館は走攻守のレベルは九州県内では評判だった。あとは全国の実績だけ。ベンチ入りの選手だけではなく、学校全体を後押しして掴んだ1勝は創成館がさらにステップアップするためには大きな1勝だったことは間違いない。

(文=河嶋 宗一


関連記事
・第97回全国高等学校野球選手権大会特設ページ
・夏よりも熱い!全国の野球部に迫った人気企画 「僕らの熱い夏2015」

第97回全国高等学校野球選手権大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.04

神村、鹿実の壁を破れ! 国分中央は「全力疾走・最大発声・真剣勝負」で鹿児島の頂点を狙う

2024.06.04

【東北】5日に抽選!秋春連覇がかかる青森山田、雪辱期す仙台育英と明桜の対戦相手に注目<地区大会組み合わせ>

2024.06.04

【春季東北大会出場校一覧】仙台育英の「朗希2世」や、花巻東の1年生野手など注目選手も

2024.06.04

【2024夏有力チーム分析】龍谷大平安は県外招待試合でメンタル強化! 豊富な投手陣と超強肩捕手を軸に近畿王者・京都国際を追う

2024.06.04

【中国】尾道が延長10回サヨナラ勝ちで初優勝<春季地区大会>

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

【北信越】富山県勢4校が12年ぶりの県勢V狙う、茨木擁する帝京長岡にも注目<地区大会>

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農が"強気の勝負"で勝機を引き寄せ4強入り

2024.05.31

【鹿児島NHK旗】鹿屋農が、延長11回を制す!

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得