鹿児島城西vs加治木
目指す野球、かたちに・鹿児島城西
低めのボールの見極めと甘い球を逃さず打つ(鹿児島城西)
「低めのボールの見極めと甘い球を逃さず打つ」(原田塁主将・2年)。7月の新チーム結成以降、鹿児島城西が掲げたテーマだ。コールド試合の準決勝は「目指す野球がかたちになった」(原田主将)手応えが感じられた一戦だった。
準々決勝まで4試合で与四死球12の加治木投手陣から10四死球を選んだ。うち8つはボールをしっかり見極めた四球だ。加治木のエース濵田隆太朗(2年)は低めのスライダーが武器。
休養日の前日は「マシーンでスライダーを見極める練習を徹底してやった」と3二塁打3打点と活躍した5番・辻亮吾(2年)は言う。2四球を選んだ6番・福永将希(2年)は「センターから逆方向の意識がしっかりできていたから、低めのボールはしっかり見逃せた」と振り返る。
「前のチームのように長打力のある選手はいない。だから1人1人が頭を使って工夫をする野球を心掛けている」と原田主将は言う。
5番・辻は準々決勝・鹿児島実戦でホームにヘッドスライディングした際、左の小指を脱臼した。普段はバットを短く持つが、この日は長く持って、小指ではなく薬指でグリップするように工夫した。福永はバントの構えを盛んに繰り返して、投手を揺さぶった。
8回は、送りバントをきっちり決められない課題は残ったが、辻はフルカウントからバスターで長打を放ち、福永は足を生かしたセーフティーバントを決めている。このあたりの臨機応変な対応力が、11安打で10得点と、効率良くそつない加点につながった。
(文=政 純一郎)