試合レポート

福島vs大牟田北

2014.07.09

福島が延長戦を制し、2回戦進出!14人の大牟田北が大健闘!

 昨秋の福岡南部大会柳川を破り、ベスト16に進出、このも強豪・九産大九州に1対2と接戦を演じるなど力のある福岡福島とベンチ入り選手14名の大牟田北の戦いは、1点を争う緊迫したものとなった。

 先制したのは大牟田北だった。先頭の1番阿部 虎太郎(2年)が安打で出塁。犠打で一死二塁にすると、3番古賀 雄介(2年)の右前安打で一死一、三塁に。ここで4番磯邊 凌央(3年)がきっちりと犠飛で放ち1点を先制する。

 すぐに同点に追いつきたい福岡福島だったが、大牟田北の先発・田村 沙樹(2年)の前に得点を中々上げることができない。田村は171センチ62キロと小柄な左腕。速球は常時125キロ前後(最速128キロ)で、このストレートに加え、小さく切れるスライダー、カーブのコンビネーションで打者を打ち取っていく。特に素晴らしいのはアウトコースギリギリに決まるストレートで、この球を決め球として、次々と凡打を積み重ねていった。高校野球は左投手優位な世界なだけに、コントロールの良い左腕がいるのはかなり大きい。

 こうして1対0のまま5回を終えた。
グラウンド整備後に流れを変えたい福岡福島は6回表、2番伊東 勇人(2年)の左前安打で出塁。その直後、牽制悪送球があり、伊東は一気に三塁へ。 そしてこのチャンスに3番牛島 聖弥(3年)が左前適時打放ちついに同点に追いつく。
更に4番高口 恭生(3年)の二塁強襲安打で、再び無死一、三塁とチャンスを作ると、その後、併殺の間にランナーが一人返り2対1と勝ち越しに成功した。

 このまま逃げ切りを図りたい福岡福島。しかし8回裏、大牟田北は一死一、三塁のチャンスを作り、小宮 貴弘(3年)が右前適時打を放ち、2対2の同点に追いつく。試合はそのまま延長戦へ。


 迎えた10回表。
福岡福島の攻撃は、この回先頭の1番山﨑 駿(2年)が左二塁打を放ち、2番伊東が四球で続き無死一、二塁に。3番牛島は絶妙な犠打を決め一死二、三塁。ここで打席には4番の高口。この試合最大の山場が延長になってやってきた。

 大牟田北ナインは1点を阻止するために前進守備を敷く。
しかし高口は前進した二遊間の間を抜ける痛烈な中前適時打を放ち福岡福島が2点を勝ち越しに成功した。さらに敵失で1点を追加し、5対2とその差を広げる。

 最後は9回裏から登板する遊撃の中島 健太(3年)が120キロ後半の速球を武器に大牟田北打線を抑え、福岡福島が延長戦を制し、苦しみながらも初戦突破を決めた。

 福岡福島は出塁しても打線がつながらず、勝ち越しても、追いつかれる嫌な雰囲気。初戦特有の硬さを感じられたが、今日のような苦しい試合を経験したことは次戦に大きく活きるだろう。

 大牟田北は善戦及ばなかったが素晴らしい戦いだった。2、3年生だけで9名。1人欠ければ、出場不可になっていたところだったが、5名が入部し、14人となった。

 この試合は3人の3年生がしっかりとチームを引っ張り、印象的な活躍を見せた。先制打を放ち、また先発の田村を盛り立てた4番捕手の磯邉、主将としてチームを引っ張り、同点打を放った小宮貴、同点のホームを踏み、途中からリリーフとして力投を見せた曽我部 巧(3年)。彼らの活躍には残りの1、2年生11名に大きく印象を与えたに違いない。3年生の想いを引き継ぎ、ぜひ秋には公式戦で勝利を挙げることを期待したい。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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