試合レポート

都立武蔵野北vs都立福生

2014.07.06

都立武蔵野北、緊迫の1点差ゲームをモノにする

 7月5日に開幕を迎えた西東京大会は、6日、本格的に各球場にて試合がスタート。夏らしい熱い日差しの中、[stadium]立川市立川公園野球場[/stadium]では3試合が行われた。

 第1試合、都立武蔵野北都立福生の試合は、お互い走者は出すものの要所を抑える投手戦に。一点を争う緊迫した試合となった。

 5回表、都立武蔵野北の攻撃。一死から6番・新関 健太が放った打球はセンターへ。追いかけた都立福生センターが必死でダイブするも及ばず。ボールがフェンス際へと転がる間に打った新関は三塁へ。続く打者は三振に倒れるものの、8番・堀 洸太が四球を選び二死一、三塁。都立武蔵野北が先制のチャンスを迎えた。

 このピンチに、都立福生のキャプテンにして捕手・根本 貴弘は慌てなかった。先制への逸る気持ちを抑えきれないかのように一塁走者のリードが大きくなっているのを見逃さず、すかさず一塁へ送球。見事アウトに仕留め、ピンチを脱する。

 この勢いを攻撃につなげていきたい都立福生。しかし4回までに毎回の6つの三振を奪い無失点に抑えている都立武蔵野北先発・小林 勇輝都立福生打線の前に立ちはだかる。
小林はゆったりとしたフォームからのサイドスロー。リリースの瞬間、急加速をするように見える。さらに間合いに変化をつけながら打者をタイミングをずらしていく。5回表の都立福生の攻撃も、ショートへのライナー2本と三振に切って取り、良いリズムを途切れさせない。


 小林の好投に応えたい都立武蔵野北打線は6回表、一死から1番・福田 雅治がセンターの頭上を越える二塁打で出塁。ボールの処理にもたつく間に三塁に到達。またもチャンスを作る。続く打者は、2番・大塚 祐輝。大塚は初球をセンターへ弾き返す。やや浅い外野フライだったが、三塁走者・福田はタッチアップ、本塁へ。見事生還を果たし、遂に1点をもぎ取った。

 都立武蔵野北は7回にもチャンスを作る。この回先頭の4番・天木 竜太郎がレフトへの二塁打で出塁。続く5番・小林 勇輝は内野陣が前へ詰めてくるプレッシャーの中、キャッチャー前へ勢いを殺した会心のバントを披露。前掛かりになった内野の隙を突き、自分も出塁を果たし、無死一、三塁。さらに先ほど三塁打を放った6番・新関 健太が四球を選び無死満塁と追加点の大きなチャンスを作り出す。
しかし、この絶体絶命のピンチを都立福生はファーストへのゴロでホームゲッツーで打ち取り二死二、三塁。さらに続く打者を三振に仕留め、追加点を許さない。緊迫した試合が続いていく。

 その後も集中力を切らさずに守り抜く両チーム。試合は1対0、都立武蔵野北1点リードのまま、遂に9回裏に突入した。
後がない都立福生は、この回先頭の1番・出口 大地がサードへの内野安打で出塁。気迫のヘッドスライディングと雄叫びでチームを鼓舞する。続く2番・斎藤 正太が送り、一死二塁。3番・菅野 友輝の内野ゴロの間に出口は三塁へ進む。9回裏1点差、二死三塁。この場面で打席に入るは、4番・キャプテン根本 貴弘都立武蔵野北ナインもマウンドへ集まり一呼吸を置き、エースと4番の対決に備える。その根本のバットから放たれたライトへの飛球はあとひと伸びが足りず、都立武蔵野北ライト、先制のホームを踏んだ福田 雅治のグラブへ収まりゲームセット。白熱の一戦に終止符が打たれた。

 都立武蔵野北先発・小林 勇輝は8回まで毎回の11奪三振。一方の都立福生先発・森川 暢も、7本のヒットを打たれながらも粘りのピッチングで1失点完投。両投手の好投と守備陣の集中力が魅せた最後まで息の付けない1点を争う引き締まった好ゲームに、球場に集まった観客からは惜しみない拍手が送られていた。

(文=青木有実子

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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