小禄vs那覇商
約1年と5ヶ月振りの再戦は、時を経てあの場面を思い起こさせた
小禄・島袋 洋平投手
小禄と那覇商。あれは1年4ヶ月と3週間ほど前になるだろうか。
2012年11月3日。一年生中央大会出場を目指していた両校は、第二代表の座を巡って好勝負を演じ、沖縄工と那覇商との戦いを制した小禄は、中央大会でも躍進しベスト4へ進んだ。
時を経た2014年3月26日、小禄と那覇商は再び対峙。あのときと同じく、島袋 洋平と浦崎 安鷹がマウンドへ上がった。
先制したのは小禄。初回、二死三塁として4番手登根 諒介がレフト前へ運びタイムリーとすると、5回には2番金城 光がライトの頭上を襲う大きな当たり!二塁にいた島袋 洋平が悠々と生還すると、金城 光は三塁ベースを蹴って確認。送球が乱れるのを見るや一気に本塁を陥れた。
小禄は7回にも1番金城 勇のタイムリー三塁打などで決定的とも思える3点を追加。
だがこれが「大きくリードしたものだから、僕が言ってたことをすっかり忘れてしまった 」と、試合前に野原監督がナインに伝えていた“この試合は1点を争うような試合になるぞ!”という緊迫感が、少しずつ緩み始める。
二塁打を放つ那覇商・桃原 雅史
事実、那覇商は6回までに上位3人で5安打と、島袋 洋平を打ちあぐねていたわけでは無かった。7回、その3人へ打席が回る。二つの四死球などで一死満塁とすると、那覇商で一番頼れる桃原 雅史が、ベンチの期待に応えるセンター前2点タイムリーを放ち反撃ののろしを上げると、あの1年と5ヶ月前のようなドラマが待っていた。
後がなくなった那覇商は9回裏、「終盤は完全にスタミナ切れでした」と語った島袋 洋平の制球の乱れから、中島 樹一郎と桃原 雅史が連続四死球で無死一、二塁とすると、ここまで全くタイミングがあっていなかった4番宮里が弾き返す。
「9回表を終えて4点差。その気持ちの緩みが、打球に対し見えにくい真っ正面へ入らせた 」(野原監督)。
打球は頭を越えて外野の奥へ。打球の確認をすることなく、一気に三塁を蹴った宮里が本塁へ滑り込む3点ランニングホームランで、最大6点あったのをついに1点差にまで詰め寄った。
さらに続く打者も内野安打で出塁すると、スタンドのボルテージはさらに高まる。体力は限界に近づいていた島袋 洋平だったが、ここで気力を振り絞りこの日10個目の三振を奪うとレフトフライ、ファーストゴロとして熱戦に幕を降ろした。
1年生だったあの日から、確かな成長を見せた両校のナイン。差が無かったことからも、これまでの間の練習での努力の跡を感じさせた。最後の夏もまた、好勝負を演じてくれると信じて今後も彼らを見守りたいと思う。
(写真・文=當山 雅通)