【特別インタビュー】株式会社明治 管理栄養士・大前恵さん (前編)
▲株式会社明治 管理栄養士 大前恵さん
球児の体作りを栄養面でサポート!
管理栄養士・大前恵さんに特別インタビュー!
これから冬が近づき、体作りを本格的に取り組むチームも増えてきます。
そんな皆さんに、今回は、株式会社明治の管理栄養士・大前恵さんから、食事面のアドバイスをいただきました。大前さんは、今季リーグ初優勝を果たした楽天球団や巨人の坂本勇人選手の食事のサポートをするなど、野球界で幅広く活躍されている管理栄養士です。
毎日の食事の摂り方にチョットの工夫を加えるだけで、体は変わってきます。ぜひ参考にしてみてください。
――これまで、今季初優勝を果たした楽天球団や、巨人の坂本勇人選手など、プロ野球選手の栄養をサポートをされている大前恵さん。管理栄養士として、野球チームに、食事の重要性を伝える際に大事にしていることは、どんなことですか?
大前恵さん(以下「大前」) 家族や指導者がいくら食事の重要性を伝えても、まずは選手が食事は大事だと思わなくては改善はされません。基本は選手次第。それで家族がサポートしたり、プロテイン摂取や補食のタイミングなど指導者の方にしかコントロールできないところは、ご協力いただきたいと思います。
例えば、楽天と巨人で比べると、楽天球団が出来たばかりの頃は選手自身の目標への考え方が、大きく違っていたように思うんです。巨人は目指すところが常に優勝。でも楽天の場合は、個人がいかに良くなるか。ピッチャーなら10勝したいとか、2軍なら1軍に上がりたい。それは、高校野球でも同じで、強豪校と、そうでないところは食事への意識も違うのではないでしょうか?
そこで、強豪でなくても、選手たち全員が、食事への意識を高めてもらうために、私たち管理栄養士は、食事を考えるだけで広がる可能性をお話しするようにしています。
実際に、食事の摂り方を見直して、筋力がついたことで、今よりボールが飛んだり、140キロ出せる可能性も出てくる。小さなことでも変化はあって、足がつらなくなったり、体調を崩さなくなったり、ケガが減ったりなど。食事を変えれば、体が変わるし、体が出せるエネルギーが変わります。また、集中力や、持久力が全然変わってきます。
――具体的には、どのような変化があるのでしょうか?
大前 ピッチャーであれば、先発とか、抑えであっても、良いピッチングをするためには、どれだけ筋肉に炭水化物をためて、それを使って投げる動作をすることができるかが重要なんです。どれだけ筋肉に炭水化物をためて、どれだけ投げ続けることができるか。
同じように投げていても、炭水化物がなくなってしまうと、自分のフォームは一緒でも、投げる球の勢いは全然違ってしまうので、筋肉に炭水化物をためておくだけで、もともとの力が出せる。ピッチャーの課題によっては、イニングを増すごとにだんだん打たれていく。だんだんスピードが遅くなるといったことは、そういう食事の工夫だけで改善できるものなんです。
――炭水化物も重要なんですね。よく、高校野球の現場では、「たんぱく質」を摂ることは意識されていますが。
大前 たんぱく質は、試合の当日はエネルギーとしてほとんど使われないもので、試合後の回復に重要になってくる栄養素です。
とはいえ、基本的には食事はバランスがすごく大事で、①主食と②おかずと③野菜と④果物と⑤乳製品を揃えることを高校球児であれば意識してほしいですね。
高校球児には、投げる、打つ動作、そして考えるエネルギーが必要です。また、体を作る栄養素も必要であり、風邪をひかない、怪我しない、疲労をためないというコンディショニングを作ることも食事が出来る役割となります。
そのため、①主食から、⑤乳製品までをすべて摂っておくと、そこに関わる栄養素を体に取り入れることができるのです。
【プロテインは必要な栄養素を努力して摂取するための一つの材料】
―― 選手の親御さんがここまで準備できない時はどうしたらいいのでしょう?
大前 ご飯は自分で炊けると思いますし、納豆やかまぼこ、ちくわ、魚肉ソーセージ、卵とかであれば、自分で用意できる「たんぱく質」の食事になると思います。あとは、ビタミンCの多いミニトマトも洗うだけで食べれますし、果物とヨーグルトも親御さんに冷蔵庫に入れておいてもらえれば、食べれるものなので、そこは自分で体のために摂るという習慣をつけておいていただければ、体は変化してくるはずです。
―― たんぱく質が補給できるプロテインは活用したほうがいいのでしょうか?
大前 プロテインは、もともとは牛乳や大豆の原料から作っているので、安心して摂取していただけるものだと思っていただければと思ってください。
摂取のタイミングとして2つの方法があって、食後にたんぱく質を足すために摂る選手もいると思うんですが、とくに回復目的であれば練習30分以内に摂るといいというデータがたくさん出てるので、そこは参考にして摂取していただきたいですね。
自分の家庭環境とか、寮の食事環境を考えて、必要な栄養素を摂取するための一つの材料として考えてもらえればと思います。
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【高校野球ドットコム編集部】
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