徳之島vs指宿
大山陽介
「秋の経験」生かす・徳之島
先制しながら追い上げられるのは、昨秋の2回戦で敗れた国分戦と同じような展開だったが、徳之島ナインは同じ轍を二度踏まなかった。苦しい戦いだったが「1人1人が取り組んだ課題を克服してくれた」好ゲームと田村正和監督は評した。
最大の立役者は6回から2番手で登板した大山陽介(3年)だ。6回1点差に詰め寄られた時点でエース永大志(3年)からマウンドを託された。1点差に詰め寄られ、なお無死二塁の場面でも、慌てることなく自分の仕事に徹し、犠打、三振、内野ゴロで同点のホームを踏ませなかった。7回一死満塁のピンチは4番・前川翔太(3年)を併殺に打ち取る。8回は自らのフィールディングミスでピンチを広げるも、送りバントの小飛球を素早く二塁に転送して併殺、ミスを帳消しにしてみせた。
昨秋の国分戦では同じような場面でリリーフするも、冷静さを欠き、独り相撲で大量失点を喫した苦い経験があった。失敗を繰り返さないために「自分がマウンドに上がるのはピンチの場面」と日頃から想定して練習を繰り返した。
1人で決めようと力まず、周りを見て投球することを心掛けるようになった。スライダーや覚えたてのシュートなど、変化球でストライクが取れるようになり、投球の幅が広がった。「秋の経験を生かすことができました」と大山は力強く振り返っていた。
(文=政 純一郎)