Interview

ボストン・レッドソックス 上原浩治 選手 (前編)

2013.01.25

ボストン・レッドソックス 上原浩治 選手 (前編) | 高校野球ドットコム

 2月はMLB経験者からの特別寄稿が始まります。第1弾は、上原浩治選手が登場。世界を舞台に活躍したヒーローたちから、高校球児への熱いメッセージをいただきました。

東海大仰星高から大阪体育大学に進学した上原浩治は、大学では通算36勝を挙げた。1999年に巨人に入団。2009年からはMLBでプレー。2013年はボストン・レッドソックスへの入団が決まっている。
 そんな上原選手に、今回は個人練習の大切さと取り組みについて。また世界で戦う中で変化した思いを伺いました。

後編はこちらから!
ボストン・レッドソックス 上原浩治 選手 (後編)

世界で自分をアピールすることの大切さ

――上原選手がMLBでプレーする中で、野球選手としてここは大事にしなければならないと感じたことはありましたか?

上原浩治選手(以下「上原」)  周りに流されないようにすることが第一ですね。いかに自分というものを持つのかが大事です。とくに、アメリカの場合は、自分をアピールしなければなりませんからね。日本のように一球団40~50人ではなく、300~400人もの選手が所属しています。その中で、自分をどうアピールしていくかは改めて感じました。

――上原選手の場合は、どうアピールしていったのでしょうか?

上原 僕の場合は、『モミアゲを伸ばしました』というのも一つなんですが(笑)、僕は特別、速い球を持っているわけではなかったので、マウンド上でのオーバーリアクションというのも、アメリカに行ってから大事にするようになりましたね。これは気合です!
 とはいっても、中々、高校野球では出来づらい面もあるかとは思うんですけど、もし今、マウンド以外の場でも自分の思いを伝えるのが苦手な選手がいたら、これは自分で変えないといけない。周りの助けもあると思うんですけど、それでも、誰かに“思いを伝える“というのは、自分が変わらないと何も変わらないですね。

――上原選手といえば、学生時代から、世界の舞台で戦うことを意識されていたという印象があるのですが、その時も今ほど気持ちを出して投げるということは、少しでもイメージをされていたのでしょうか?

上原 いえ、ここまで気持ちを出すことの大切さは、当時は分からなかったですし、実は昨年ほど気持ちを出している年はないですね。年々、負けたくないという気持ちが強くなっていきます。なんといっても、MLBは世界の負けず嫌いの集まりですから。

[page_break:今の自分に必要なものを考えられる力をつけよう]

今の自分に必要なものを考えられる力をつけよう

ボストン・レッドソックス 上原浩治 選手 (前編) | 高校野球ドットコム

「個人練習はやりすぎないことも大事です」
(2012年NIKE BASEBALL CAMPにて)

――負けず嫌いとおっしゃっていた上原選手が、学生時代に、チームメイトに負けないために、個人練習で工夫されていたことはありますか?

上原 高校の時は、全体練習でヘトヘトになって、個人練習する体力が正直残っていなかった。でも大学では、個人練習がメインのチームでしたので、プロ野球のキャンプを見に行ったり、社会人野球のチームの練習に参加したりして、いろんな練習法を自分でも取り入れて、それを大学に戻ってから、学生トレーナに相談して自分自身のメニューを組んでいきました。

――レベルの高い場所へ足を運び、貪欲に勉強し、自分自身で練習を管理されていたのですね。

上原 僕は、全国大会に行って優勝したこともないですし、全日本に入ってからも周りとのレベル差を実感してきました。だから、色んなことを吸収したかったんです。
 また、自分の大学に帰ってからも、周りに流されないように、自分というものを持って、個人練習に取り組みました。

――その結果、大学4年時に巨人に逆指名で入団が決まりました。そこまで、大学時代、活躍を残せるための“個人練習”において、大事な考え方はありますか?

上原 個人練習は大事なんですが、やりすぎないことも大事だったりします。『しなくちゃいけない』という頭にあると思うんですけど、やりすぎると疲れが取れないですし、なんでも『やりすぎ』というのは良くないんですよね。練習もそうですし、食べ過ぎも良くない。寝過ぎも良くない。8割程度で抑えて、次の日にがんばろうと思うことが、一番大事ですね。

――なるほど、自分で続けていくための気持ちや体を作っていくことも大事なのですね。では、今後メジャーを志望する高校生にアドバイスをいただきたいのですが、高校時代のうちに身につけておいたほうが良いことがあれば、それはどんなことでしょうか?

上原 『自分でどういう練習をするのか』を自分で考えられる力をつけることですね。本当にメジャーに行くならば、向こうは細かなアドバイスもなく、どちらかというとほったからしの環境。そのため、自分でどういう練習をするのか、どんな食事をとればいいのか、栄養学的なことも学ばなければなりません。
 プロの選手として基本的なことは、全部吸収しなければなりませんね。ある程度の練習方法はチームであると思うんですけど、逆にメジャーはチームでの練習は、やらなさすぎな部分があると思うので、自分自身で能力を磨かなければならない。そういった自分を管理できる力は、今から意識して磨いておくといいですね。

――ありがとうございます。上原選手から高校球児たちへ夢を叶えるための熱いメッセージをお願いします。

上原 まずは、自分がやりたいことに対して、それが好きかどうかですね。高校時代は、好きな野球をやり切れる貴重な3年間ですから、野球が好きであることが一番大事です。その気持ちだけでも、上にどんどんいけると思います。僕は今でも、野球が好きですから。

野球選手として今、自分に必要なことを考えて、実行できる選手になることが、上達する近道ですね。上原選手、参考になるお話しをありがとうございました。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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