中部商vs八重山商工
何とか反撃しようとした八重山商工だったが。。
新人中央大会出場校同士の注目の一戦は、4番が試合を分けた!
長らく興南・沖縄水産・沖縄尚学・浦添商の四天王がリードしてきた沖縄高校野球だが、夏の甲子園に2002、04年に出場した中部商と、2006年春夏出場を果たした八重山商工らに代表されるように、21世紀になって台頭してきた高校らによって近年の沖縄県は群雄割拠となっている。商業高校野球大会でもライバル同士の両校だが、ファンの脳裏に焼き付いているのはやはり2006年だろうか。
九州秋季大会で準優勝し選抜出場した八重山商工は、さらに勢いを増し九州春季大会で優勝。その間春季県大会で興南を下し優勝していたのが中部商だ。
そして迎えた夏の選手権大会決勝戦で導かれるように両校が激突。大会54安打18長打の八重山商工と55安打23長打の中部商の試合は見応えたっぷり。初回ニ死から4連打で2点を先制した八重山商工が4ー0とリードした7回に、中部商は3番の三塁打と4番の二塁打の連続長打で3点を加え1点差に詰め寄る。
だが8回に金城長靖の2点本塁打でトドメを刺した八重山商工が中部商を振り切り勝利を手にしたのだった。
その後最後の対戦となったのが2008年の夏1回戦。このときも10-3で八重山商工が大勝しているが、近年の総成績では八重山商工が2010年の春ベスト4、同秋ベスト8を最後に以降は2回戦敗退。一方中部商は2010年3季連続ベスト8から11年の夏は準優勝を飾るなど四天王に負けない好成績を収めていた。
中部商先発の仲井間雄也
試合を分けた4番の出来
4年振りの対戦となったこの試合。先制したのは中部商。八重山商工先発・大底翔はストレートが137kmを示すなど好調のように思えたが立ち上がりに苦しみ、四球を与えたあとワイルドピッチで無死二塁と自分でピンチを作ってしまう。しかし気合いが入った表情で次打者を三振、3番をニゴロに抑えたところはさすがだったが、4番亀川盛斗にセンター前に運ばれ先制点を失った。
中部商先発のサウスポー仲井間雄也は、120〜25kmほどの球速しかないものの、球持ちの良さからくるキレのあるボールで打力のある八重山商工打線を手玉にとっていき、5回までに出した走者は僅か3人だけ。こうなってはさしもの名将伊志嶺吉盛監督もその辣腕を振るえない。
グランド整備が終わった二度目の”初回”となる6回。八重山商工はサード強襲内野安打とレフト前ヒットで一死一・二塁として4番上原卓朗が打席に入るが、中部商バッテリーの注文通りとなるショートゴロ併殺と何も出来ずじまい。
その裏中部商は一死一塁から、4番亀川盛斗が左中間突破のタイムリー三塁打で突き放す。
ここで大底翔が降板し2番手に加藤弦がマウンドに立つが、中部商も右腕宮里祐人を送る。
八重山商工は7回、変わったばかりの宮里から三振振り逃げを奪うが盗塁失敗。そのあと後原大輝に三塁打が出るなど、この日は終始歯車が噛み合わない。その悪い流れは後続の打者にも伝染していくのだろうか。一死三塁のチャンスも断たれ無得点。試合は9回にさらに2点を加えた中部商が逃げ切り3回戦へ。八重山商工はまたしても2回戦で敗退してしまった。
8回までに2失点の投手陣を攻めることは出来ない。やはり得点機に2度もタイムリーを放った亀川と、併殺に倒れた上原の4番の差が左右したように見えたこの日のゲームであった。
(文=當山雅通)
八重山商工 | TEAM | 中部商 | ||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
三塁 | 徳元将真 | 1番 | 右翼 | 上原大地 |
右翼 | 根間信明 | 2番 | 中堅 | 比嘉俊平 |
中堅 | 平良慶太 | 3番 | 捕手 | 新垣宏太郎 |
一塁 | 上原卓朗 | 4番 | 左翼 | 亀川盛斗 |
左翼 | 市川海悠 | 5番 | 一塁 | 小浜源太 |
捕手 | 後原大輝 | 6番 | 三塁 | 伊禮大輔 |
遊撃 | 新城仁貴 | 7番 | 二塁 | 金城純平 |
投手 | 大底 翔 | 8番 | 遊撃 | 與儀直樹 |
二塁 | 仲宗根旬平 | 9番 | 投手 | 仲井間雄也 |