試合レポート

専大松戸vs千葉明徳

2012.09.23

専大松戸vs千葉明徳 | 高校野球ドットコム

専大松戸・金子弥君

反省材料だらけながらも、「公式戦は最大の経験」で専大松戸2回戦進出

甲子園出場は果たしていないものの、近年はいつも甲子園に手の届くところまでチームを仕上げてきている両校である。混戦千葉県の中で、新たに出現してきた有力校対決である。その原動力は、やはり投手陣である。このところ、毎年のように好投手を育てているのも特徴と言っていいであろう。

この秋のチームでは専大松戸は力強い左腕の金子君と右下手投げながらスピードのある高橋君の2本柱。千葉明徳はしなやかな左腕畠山滉君を軸に、速球派の右の藤村君と左の高市君という3人の1年生投手という構成になっている。

先発したのは、今大会ではエースナンバーを貰っている両左腕投手だった。
金子君は、重そうなストレートを捕手のミットに叩きつけるような投球でいい立ち上がりだった。それに対して、畠山君は本来のキレというか鋭さがもう一つ足りないかなという印象だった。実は、宮内一成監督も、「このところちょっと調子が落ち気味ではあったんですけれども、やはりここは畠山で行くしかないと思いました」ということで送り出していた。

先制したのは専大松戸だった。3回、無死一、三塁から盗塁失敗などもありながらも、初回には三塁打を放っている2番田邊君が、1死三塁からライトへ犠牲フライを放って返した。

しかしながら、その後の専大松戸はもう一つちぐはぐだった。4回、5回と2度のスクイズ失敗。一、三塁からダブルスチールを仕掛けようとしたら、二塁で刺されるといったことでベンチとしても歯がゆい展開だった。それでも、仕掛けを失敗して2死となって打たせたらタイムリーが出たり、6回には四死球で押し出しの1点を貰うなど、相手に行きかかった流れが、何とか戻ってくるという形で加点していった。


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千葉明徳・小田捕手

 試合後、持丸修一監督は開口一番、「弱いね、弱い。こんなくたびれた試合、初めてだわ」とへたり込むようにベンチに腰をおろしながら語った。
「2度のスクイズ失敗だって、別に相手が警戒しているわけじゃないんだよ。それを決められないで、ホームで刺されちまうんだもの。核になる打者がいないから、3番に代打出したり、5番の時にダブルスチール仕掛けたりしたんだけれど、2度も二塁で刺されてしまったしね。まあ、あれは投げた捕手もえらいんだけれども…。完全に負け試合ですよ。だけど、たまたま投手がちょっとよくて、何とか抑えられたから、勝てたようなものですよ」と、ひとしきりボヤいた。

それでも金子君の力投や、8回途中で思い切ってリリーフに送り出した高橋君の落ちついたマウンドさばきなどは評価していた。
そして、「公式戦は、最大のいい経験なのだから、勝ってまた経験できることが、このチームにとっては一番いいこと。失敗は練習だと思えばいいんだし、試合は経験だと思えばいいんだから」と、内容には大いに不満はありつつも、勝って次へ進めることに関しては希望と期待を抱いていた。

夏の大会は正選手かすべて3年生で戦っただけに、経験を積んでいくことの大事さをこの大会で身をもって実感していこうという姿勢でもあった。

期待を込めて送りだした畠山君がもう一つ、本調子ではなかった千葉明徳の宮内監督は、「畠山のコントロールがあれだけブレることは、なかったんですけれどもね」と、いささか悔いはある様子だった。打線も、7回にこの日3安打の7番小関君の右中間二塁打で1点を返したのみだったのだが、「相手も攻撃でミスが多くて、流れは来ていると思っていいたんですがね」としながらも、「小関は3番くらいに上げようかなとも思っていたんですけれども…」と、上位打線がわずかに9回の小田君のセンター前ヒットのみで1安打という結果にも、残念さは隠せない様子だった。

(文=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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