試合レポート

光星学院vs神村学園

2011.11.25

光星学院vs神村学園 | 高校野球ドットコム

4回に2ランを放ち笑顔でベンチに戻る天久君

光星学院、延長10回満塁弾でタイブレーク決着

 比較的投手戦になるケースが多い明治神宮大会だが、この試合は活発な打撃戦、点の取り合いとなった。しかも、昨日に続いて、タイブレーク決着にもつれ込んで、最後は光星学院の4番北條君のドデカイ一発で幕を閉じた。

試合は、最初からそんな乱戦の予感を漂わせていた。神村学園の1番新納君は、初回の打席で光星学院の城間君に12球も投げさせた挙句に、どん詰まりながら中前打で出塁。それだけでも、投手としては厭な感じがしてしまうものなのだろうが、バントは失敗したものの平藪君が右前打して一三塁となると、暴投の間に新納君が帰って先制。新納君のしつこさでもぎ取った背1点といってもいいものだった。
ところがその裏、光星学院も先頭の天久君が追いこまれながらも粘って中前打で出ると、こちらはバントでしっかり進むものの、内野ゴロで三塁で刺された。しかし、2死二塁から北條君が中前打で帰して同点となった。

2回には神村学園は6番古賀君が右翼へソロアーチを放って再び突き放すが、光星学院も2死三塁から木村君が一二塁間を破って再度追いつく。

ここまで、お互いに毎回2安打ずつを放っていたが、いずれもスイングが速く思い切りの良さが光っていた。

3回も神村学園は田中君が右前打したが、バント失敗、盗塁失敗三振併殺となり3人で終わった。
そしてその裏、1番からの好打順の光星学院は、天久君がいきなり三塁打で出ると、続く村瀬君が右前打で帰し光星学院が突き放す。さらに、5番武田君もタイムリー打して光星学院の流れとなった。

神村学園は、先発の平藪君から二番手柿澤君を外野からマウンドへ送り出したものの、2死二塁で天久君の2ランが出て、光星学院がリードを広げた。
これで、試合の主導権は光星学院が握った形になった。6回からは、先発した背番号4の城間君を二塁へ戻して、左腕の横手投げという変則タイプの伊藤君がマウンドに立って、6、7回と無難に抑えていた。ところが、8回に失策もあって掴まって、1点を返されてさらに死球を与えて無死満塁という場面で、エースナンバーを付けた金沢君を投入。力で投げ込んでくるというタイプの金沢君は、代打上池君を三振に切って取り、続く8番中野君も追い込んだが、力でねじ伏せようと向かっていったところを中野君が無心ではじき返して、走者一掃の中越二塁打となり同点となった。

金沢君としては、球そのものの力はあるのだろうが、力みもあってか、いくらかボールが浮き気味で制球そのものにもばらつきがあった。それが、同点の一打につながってしまった。その後も、さらに力みが出て9回も二つの四球を出したが、何とか抑えた。

一方、神村学園はリリーフした柿澤君が4回こそ天久君に本塁打されたが、5回以降は立ち直りを見せていた。8、9回と3人で抑えるなどして、すっかり自分のペースを掴んでいた。


光星学院vs神村学園 | 高校野球ドットコム

光星学院・北條君

 こうして、試合は延長タイブレークに突入していった。
その最初のイニングの10回。1死満塁という状況からのスタートになったのだが、金沢君はいきなりボーク。1球も投げないままの失点となった。さらに、大きく跳ねた投手ゴロの間にも2人目の走者が帰って、神村学園が2点を奪った。

何とか、2点を取る攻撃をしていかないと、負けになってしまう光星学院だったが、3番田村君からはじめたタイブレークは、遊ゴロ。そのまま併殺ならば試合終了となるところだったが、慎重に行こうとして下がって処理しようとしたところがファンブル。三走が帰ってなおも1死満塁。4番北條君は狙いすましたように左翼スタンドへ運んで行って満塁本塁打。こうして打撃戦は、派手な結末となった。

破れた神村学園・山本常夫監督は、「一歩間違ったら、コールド負けかという展開の中で、中野が気後れすることなく、一振りで流れを変えてくれたことは大きいと思います。リリーフした柿澤もよく投げてくれました。10回は、失策は仕方がないですけれど、攻めていく守りの姿勢が欲しかったですね」と語っていた。

8回4点差を追いつく同点の二塁打を放った中野君は、「この前の打席まででも、2本打っていましたから、絶対打てると信じて振りました」と、破れはしたものの、この一打は自信になったようだ。

一発大逆転でタイブレークを制した光星学院・仲井宗基監督は、「たまたま、タイブレークでこうなりましたけれど、普通の延長戦をやっていたら、流れは完全に向こうにありましたから、負けていたでしょう」と言いつつも、2度目の出場で初の神宮大会勝利となったことについては、「どういう形であれ、勝てたことは素直に、嬉しいと思います」と、語っていた。

サヨナラ満塁本塁打を放った北條君は、「1点差になりましたから、あそこはヒット一本打てば勝てるという場面でしたから、ヒットを狙って打っていったのですが、その延長線上で本塁打になりました」と、会心の一打も冷静に分析していた。
両校の打撃が目立ったが、特に光星学院の各打者の打球は鋭かった。今夏の甲子園準優勝チームにも劣らない力を感じさせるものがあった。その貫禄を示すような力強さは印象的だった。

(文=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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