愛知商vs瀬戸
楠(愛知商)
本格派右腕・水野が完封 愛知商、投打がっちり
夏の高校野球愛知大会は17日、1回戦・2回戦計26試合を行い、瑞穂球場では愛知商が4対0で瀬戸を下し、昨年に続いて2回戦進出を決めた。愛知商は4回表、竹中大泰、水野拓哉の連続タイムリーで3点を先制。投げてはエース水野が危なげのない投球で完封した。
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愛知商で気になっていたのが楠(くすのき)隼季だ。春季大会の至学館戦では左方向へガツンと一発を放ち、強打者の片鱗を見せていた。甘いボールを上から叩くように打って、逆方向へも伸びる打球を描いていたのが高ポイント。最後の夏、もう一度見ておきたい選手だった。
春と同様に3番に座るこの日、第1打席からさっそく二塁打を放ってみせた。早いカウントから積極的に狙い、センター左へハーフライナー系の打球を突き刺した。スイングは春に比べてアベレージ重視の色合いが増したようにも思えたが、この試合も終わってみれば2安打1打点と、チームの核になる働きぶりは変わらずだ。
付け加えれば愛知商は、4番・細川勝平や5番・田中大地など、打てるバッターが揃っている。
エース、水野(愛知商)
楠以上にびっくりさせられたのは、いわゆる「右の本格派」タイプのエース・水野だ。パッと見で<最速なら140キロ以上出るだろうな>と思えるストレートがまず目を引いた。力のあるボールがきている。そして、フォームに安定感があるのもいい。テークバックで右腕をしっかりと下げ、そこから体がきれいに連動して、自然な角度で腕が振れる。序盤はヒットを許さず、9イニングスを通しても5被安打1与四球、10奪三振の完封劇を演じた。
試合の行われた瑞穂球場は、愛知県の大学野球のメイン球場でもある。気の早い話だが、例えば1年後や2年後、この球場で投げている水野の姿を想像しても違和感は全くないほど、美しいピッチャーだ。
瀬戸は先発の久保田勇輝が3回までは無失点で粘ったが、4回表に安打を重ねられマウンドを降りた。久保田は真上から球を繰り出すように投げ下ろすフォーム。「ハエが止まるような」と形容できそうなスローカーブがあり、2回表には相手の主軸をその球種で投手ゴロに仕留めるなど、序盤は緩急を効果的に使っていた。
(文=尾関 雄一朗)