大石 晨慈選手 (近大附)
短評
観戦レポートより抜粋(2017年9月30日) 中学時代、羽曳野ボーイズに所属していた大石はジャイアンツカップ優勝。さらにU-15代表も経験している大型左腕である。立ち上がりの球速は120キロ後半ぐらいだったが、尻上がりに調子を上げていき、左オーバーから繰り出すストレートは133キロ~135キロを計測。球速は平均的だが、大石の良さは球質が良いことだ。回転数が高く、打者の手元へしっかりと伸びるストレートを投げることができていた。初回、二死満塁のピンチを招いたように、本人は、立ち上がりは苦手にしているようだが、初回、二死満塁のピンチを抑えたことが、復調のきっかけとなったようだ。 安定感を求めて、ランナーがいなくてもセットポジションから始動し、右足を胸元まで上げていき、左足の膝を適度に伸ばし、右足を二塁方向へ送り込んでいきながら重心を下げていきながら、右腕のグラブを斜めに上げた後、右肩を下げて、一気に振り下ろすフォーム。 球質もよく、178センチ83キロと体つきが恵まれており、爆発的に球速を伸ばしていく可能性も残している。ドラフト候補と呼ぶにはまだまだだが、伸びる兆候を見せてくれただけでも十分なピッチングだった。 5回裏、無死一、三塁から近大附は7番大澤の中犠飛で同点に追い付く。さらに6回裏、タイムリーエラーで勝ち越した近大附。今日の大石はこの1点で十分だった。大石は自信としていたストレートと夏休みの練習で磨いてきた縦スライダーの精度が良かった。ストレートと同じ腕の振りで振っていく大石のスライダーは日によって横変化になったり、縦変化になったりと、規則性がない。それでも、125キロ前後とかなり速い速度で変化するのでなかなか打ちにくい球種である。この縦スライダーをうまく織り交ぜ、奪三振を多く量産。さらにマウンド上での躍動感を求め、大石のピッチングは回を追うごとに凄みが増していった。最終回の大石はフォームも、表情も生き生きとしていた。最後の打者を三振に打ち取るとガッツポーズ。12奪三振、1失点完投勝利でベスト16進出に貢献した。 試合後、大石は「夏に苦しい練習をやってきた成果がこの試合で出すことができました。しかし1年夏から背番号1を着けさせていただくことになりましたが、期待を裏切っているばかりなので、まだまだ満足していないです」とエースとしてチームを勝たせたい。そんな責任感を感じている様子だった。 エースとしてチームを勝たせた経験が大石をどれくらい大きくさせてくれるだろうか。大石晨慈の本領発揮はこれからである。
更新日時:2017.10.28
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