熊谷 敬宥選手 (仙台育英)
寸評
神宮大会では、プロ注目の 上林誠知 外野手と共に、スピード感溢れるプレーで目立っていた 熊谷敬宥 。一冬越えてどのぐらい成長しているのか、個人的には大変気になっていた。 (第一印象) 神宮大会では、ボールをミートポイントで捉えるセンスが光っていました。しかしこの選抜では、終始状態は上がらず。結局準々決勝までの打率は.143厘と、一番打者としての役割を充分果たせませんでした。そのため神宮大会当時の輝きは、この大会では見られなかったのが残念。 (守備・走塁面) 最大の魅力は、一塁までの駆けぬけが右打者ながら4.2秒を切るような俊足だと言うこと。左打者に換算すると、塁間3.95秒前後に相当し、プロでも俊足レベル。新チーム結成以来の26試合で、10盗塁を記録。走れる身体能力を兼ね備えます。 遊撃手としては、非常にボールの入りにスピード感があるのが特徴。特に打球への一歩目の反応が鋭いことが、この選手の売り。捕ってからも小さなモーションで、強い送球ができるなど地肩もまずまず。秋までは余計な動きが目立ったり、ミスも多いタイプに見えました。この辺は一冬越えて、だいぶ磨かれてきたのではないのでしょうか。上のレベルでも、ニ遊間を意識できるポテンシャルがあります。 (打撃内容) スクエアスタンスで、グリップを高めに。秋との最大の違いは、腰の沈みが浅かったのを、ちょっと深すぎるぐらいに落としたこと。これだと全体のバランスとしては、へっぴり腰に見えてしまい体重移動の観点でスムーズに移行できるのか気になります。遅かった始動は、以前よりも少し早めに動き出すようになり、ほぼ平均的なタイミングで動き出します。ある程度の長打力と対応力をほどよく備えた、中距離・ポイントゲッターが多く採用する始動です。 <長所> 始動~着地までの「間」が取れるようになり、打てるポイントは広がったように思います。踏み込んだ足元がインパクトの際にブレないので、アウトステップですが高めの外角球なら、ある程度対応できるはず。元来は踏み出した足の爪先も開き気味なので、ボール引っ張って巻き込みたいタイプなのかもしれません。 <課題> バットを寝せて出して来るタイプで、けしてインサイドアウトで振りぬくようなスイングではありません。それでもバットの先端であるヘッドを立てて、ドアスイングになるのを防いではいます。 結構目線が動くなので、的確にボールを終えていないように思います。またアウトステップで開き気味に踏み出すので、どうしても外に逃げて行く球や外角の厳しいところへの対応には苦手すると考えられます。
更新日時:2013.05.03
将来の可能性
いろいろ試行錯誤の最中といった感じで、苦労しているように見えます。まだまだ自分の体に、新しいフォームが馴染んでいないのではないのでしょうか。しかしそういった試行錯誤の過程を経なければ、何が自分に合ったフォームであり、スッキリ決まるのかは見つけられないはず。夏までに、自分に合った形が見つけられるといいですね。元々バットの芯でボールを捉えるセンスがある選手だけに、型が決まれば結果は自ずとついてくるでしょう。守備・走塁のポテンシャルも高いので、強豪大学などで野球を続けて行く選手ではないのでしょうか。期待して、最後の夏を見届けたいと思います。
更新日時:2013.05.03
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